シニア事業に浮上のきっかけを見出そうとする企業の思惑とは

2012年11月28日 11:00

 現在、高齢者世代が増加していることにより、あらゆる業種でシニア向けの商品や各種サービスが数多く登場している。

 例えばロッテは27日、ファミリーマートとの共同開発商品「香る吐息〈AIR MINT〉」をファミリーマート先行で新発売する。アクティブシニア向けの、噛んで香るマウスフレグランスガムはハイセンスな大人の男性が好む香水をイメージし、噛んだ瞬間からミントの爽やかさと香りが口の中に広がるという。メインターゲットは、50~65歳男性を想定。同社の調査によると、60代男性のガムの喫食率は他世代に比べて大きく落ちる傾向にある。その要因としては定年退職を機に、ガムを買うきっかけを失う(コンビニ・駅売店に立ち寄る機会が減る)ことなどが挙げられている。同社はガム市場の活性化に向けて、この層を取り込むことが必須であると考え、同商品を日本人男性が好きなシトラスをベースに、重厚感のある男性的なフレグランスアクセントをつけたガムに仕上げた。また歯につきにくいガムベースを使用することで、安心して噛むことを楽しめる設計にしたという。

 また、ニチレイグループのニチレイフーズは、高齢者をターゲットとした業務用冷凍食品「だいじな食事」シリーズ10品を全国で発売、展開している。同社は2004年に発売したカロリーや塩分を調整した冷凍総菜セット「気くばり御膳」を中心に、通信販売を通じて幅広い層のユーザーに向けて商品を届けてきた。「だいじな食事」シリーズは電子レンジで温めるだけで食せる、主菜と副菜を組み合わせた冷凍総菜セット。発芽大豆や豆類を使用したメニューを入れることで健康面に配慮し、全体的に食感を軟らかめに仕上げている。また、高齢者にとって適切なボリュームに設計してあり、塩分を調整するなど栄養バランスにも配慮。今回の商品はこれまでの通信販売のように幅広い層に直接届ける販路とは異なり、高齢者をターゲットにした販売チャネルで展開しているという。

 一方、アミューズメント施設を展開するナムコは、メダルゲーム用のメダルをシニア層に限り増量するサービスを一部の店舗で開始。シニア専用のマッサージチェアの設置を始めた店舗もあるという。孫と一緒に遊べるという点も含め、高齢者の利用客が増加しているようだ。

 日本は65歳以上の人口が1995年の約1,826万人から2025年の約3,300万人までは急速に増加すると推測されている。しかし、一昔前と違い近年の高齢者は活動的で、社会との接点が多いのも特徴だろう。少子化が進む中、高齢者をターゲットにしたビジネスが今後も数多く展開されると考えられる。不況が続く中、各企業の活況につながる展開を高齢者発信のサービスなどに見出すことができるのか、注目されるところだ。