世界で注目の「アピセラピー」。養蜂大国ルーマニアにミツバチ研究者たちが集結

2018年10月28日 09:35

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アピセラピー先進国のルーマニアで今年10月、ミツバチ医学の国際会議「アピメディカ」が開催された

今、注目されている「アピセラピー」をご存じだろうか。アピはラテン語でミツバチ、セラピーは療法を意味する言葉。つまり「アピセラピー」とは、ミツバチの恵みを健康や美容に活かすことだ。アピセラピーというと未だ、生きたハチの針を使った蜂針療法をイメージする人も多いようだが、現在、日本で健康意識の高い人たちの間で注目されているアピセラピーとは少し異なる。

 ここでいうアピセラピーは、ミツバチがつくり出すハチミツをはじめ、栄養価の高いローヤルゼリーやプロポリスなどを、医療や美容に役立てようとするものだ。現代の西洋医学では、病気になってから、その症状に合わせて治療を行う対症療法が今でこそ主流となっているが、古代のヨーロッパでは「病気になる前から病気にかかりにくい身体をつくり、健康を維持する」という、東洋医学に近い考え方があった。そして、その方法の一つとして用いられてきたのがミツバチ産品だ。中でも、かなり昔から実践している国がルーマニアだ。

 ルーマニアの首都ブカレストにある「アピテラピア(ミツバチ製品医療センター)」では、医療活動だけでなく、ミツバチ産品を利用した医薬品の研究開発の他、養蜂コンビナートと呼ばれる大掛かりな工場を保有し、医薬品・化粧品・はちみつ製品を製造し、ドイツをはじめヨーロッパ諸国へ輸出しているという。また、さまざまなローヤルゼリー製品やプロポリス製品が、が国の認定を受けて医薬品として販売されていたり、エステでも利用されていいる。

 そんなアピセラピー先進国のルーマニアで今年10月、ミツバチ医学の国際会議「アピメディカ」が開催された。同会議は、世界49ヵ国にわたる55の養蜂協会が属しており、その会員数は500万人以上にものぼる。養蜂産品の医科学的な利用について発表されており、養蜂家のお祭り的要素の強い「アピモンディア」と対をなす祭典として、それぞれ2年に1回開催されている。

 日本の養蜂業者では山田養蜂場が会議に参加しており、今回は「酵素分解ローヤルゼリーの更年期症状に対する改善効果」についての研究成果を発表し、大いに注目を集めた。

 同研究では、更年期症状を持つ閉経後女性42名にローヤルゼリーの服用を行ったところ、12週間の飲用で、背中や腰の痛み、不安感の緩和などが認められた。 ローヤルゼリーは、更年期に伴う諸症状の緩和に役立つことを明らかにしたもので、日本のみならず、高齢化社会を迎える参加各国にとっても大きな関心を呼んだ。

 ルーマニアとは異なり、日本でもミツバチ産品のローヤルゼリーやプロポリスはあくまで健康食品という扱いだが、山田養蜂場をはじめ、世界各国の養蜂業者によって科学的な研究が進み、その効果や効能が具体的に示されつつある。これまでは漠然と「身体に良い」とだけいわれてきたミツバチ産品の有用性だが、今後益々、その大きな恵みが明らかになってくるのではないだろうか。更なる研究を期待したい。(編集担当:石井絢子)