就職希望の潜在保育士5.6万人 待機児童解消の一手

2018年11月16日 06:57

画・就職希望の潜在保育士5.6万人 待機児童解消の一手

野村総合研究所の推計によって働く意欲の高い潜在保育士が全国に約5万6千人いることが明らかになった

 待機児童を解消する様々な対策が講じられている中、野村総合研究所の推計によって働く意欲の高い保育士資格を持つ、いわゆる潜在保育士が全国に約5万6千人いることが明らかになった。仮にこれらの潜在保育士すべてが保育園などに復帰した場合、約17万人もの子どもを預かることができる計算になる。全国に5万5千人以上いるとされる待機児童問題を一気に解決できる一手として注目を集めている。

 潜在保育士は結婚や出産などをきっかけにして職場を離れた保育士のことを指す。保育資格の取得者は累計で150万人以上いるが、そのうち潜在保育士の数は2015年11月の時点で4割以上の約68万人となっている。結婚・出産以外に保育士が職場を離れる理由として挙げられるのが待遇面の問題だ。東京都保育士実態調査によれば保育士の離職理由として給与が安いこと、仕事量・労働時間が多いことなども挙げられている。加えて近年増加している保護者からのクレーム、職場の人間関係などの精神的なストレスを上げる潜在保育士も多い。

 保育士の離職が続く一方で、機会があればまた働きたいという潜在保育士も少なくない。潜在保育士全体からすればそれほど多くはないが、5万6千人の潜在保育士の存在は待機児童問題を抱えている国や自分の子を保育園に入れたい保護者からすれば無視できるものではない。潜在保育士がもう一度保育園などで働くための大きなポイントは給与面と子育てとの両立だ。多くの潜在保育士が給与面での待遇改善や自分の子どもの病気などに伴う急な休みへの配慮があれば職場に復帰できると考えている。

 国も保育士の待遇改善に動き始めている。15年に始まった「子ども・子育て支援新制度」により保育士の給与は約3%、17年の公務員給与の見直しに伴い約2%、合計で約5%改善された。さらに都市圏を中心に地方自治体が独自に保育士の待遇改善策を打ち出しているところもある。給与面での待遇改善が進みつつある今、保育士が子育てと仕事を両立できるシステムの構築が期待される。(編集担当:久保田雄城)