自動車を所有する人であれば、自動車関連税に関心があることだろう。特に2019年10月に行われる消費増税によって、自動車本体価格やガソリン価格は上昇することが確実であるため、自動車関連税の減税が行われれば多少の負担軽減となる。しかしそんなユーザーの期待とは裏腹に政府・与党は自動車の走行距離に応じた課税を検討していることが明らかになった。
政府・与党は2020年度以降の自動車税制を抜本的に見直すことを検討している。抜本的な見直しに伴って出てきたのが、新たな課税方法を検討すべきという意見だ。現在の自動車関連税は自動車取得税、自動車重量税、軽自動車税などがあり、今年10月にはトヨタ自動車社長の豊田章男氏が「世界一高いレベルの税金」と述べたほど世界的に高額だ。特にガソリンに関しては議論が絶えない。ガソリン本体の価格にはガソリン税、石油税がすでに含まれており、その上で消費税が課税されている。ガソリンの価格によっては本体価格の半分以上を税金が占めていることさえあるのだ。
ここにきて走行距離に応じた課税を検討すべきとの声が強まってきた背景には、自動車ユーザーの変化がある。現在の自動車税制では、ガソリン代以外の税金は自動車本体の重量や排気量などを基準として決められている。しかし時代の変化と共に、特に都心部を中心として自動車は「自分で所有するもの」というよりも「幾人かで共有するもの」になってきた。さらに電気自動車の普及によってガソリンの消費も減少しつつある。自動車関連税やガソリン税の税収減に伴って出てきたのが、走行距離での課税というわけだ。当然のことながら公共交通機関が未発達の地方からはすでに反発の声が上がっている。
国民のほとんどが自動車や道路の恩恵にあずかっている以上何らかの方法で税収を確保することは必要だろう。しかしすべての自動車ユーザーに公平に課される税ではなく、住んでいる地域などによって明らかに課税額に差が出る課税方法の導入についてはかなり慎重に検討すべきだろう。(編集担当:久保田雄城)