既に第2次IT革命と呼ばれるような大きな変革が世界の企業で進んでいる。それはAI、ビッグデータというコンセプトで議論される。AIを有効活用するためには膨大なデータの蓄積が前提となる。この膨大なデータをビッグデータと呼び、このビッグデータの中から企業の戦略、意志決定に直結する法則性を見つけ出す強力な計算システムがAIである。
やみくもに膨大なデータを解析したところで価値のある情報は得られない。自社の意志決定に貢献する情報を抽出するための企業固有のモデリングが必要だ。このモデリングに不可欠な方法論がアナリティクス(分析学)と呼ばれる新しい概念だ。かつて、OR、多変量解析、データマイニングと呼ばれた統計数理の系譜に属する。この分野の専門家は現在データサイエンティストと呼ばれる。
既に世界の主要な企業はアナリティクスへの投資を実行している。しかし、ここで問題が生じているようだ。日本テラデータのレポートによれば多くの企業が単なるアナリティクスへの投資を継続することをやめ、長期的に企業価値を高めるインテリジェンス獲得のための投資を増加させているらしい。
7日、日本テラデータがテクノロジー専門リサーチ会社のVanson Bourneが実施した調査の結果をもとにアナリティクスに関するレポートを公表した。調査は今年の8-9月に南北アメリカ、欧州、アジアの企業260社のIT部門の経営幹部を対象に行われたものだ。
既にアナリティクスに投資した企業の幹部は投資が想定した効果を生み出していないと評価する。74%の者がアナリティクス技術は複雑過ぎると回答し、そのうちの42%がアナリティクス技術は従業員にとって理解・利用できるものでないと認識し、企業全体でアナリティクスを利用できていないと回答した者は31%であった。
自社内にアナリティクスを活用できる人材がいると答えた企業は25%に過ぎない。94%の企業が従業員の技能向上のために投資しているが、同時に活用可能な他の投資案件を検討しているという者も91%存在する。
アナリティクスを組織全体に普及させるべきと回答している者は81%存在する一方で、アナリティクスを専門としない従業員がこれを活用することは困難であると認識している者は63%にのぼる。
ビッグデータの有効活用が市場での優位性を獲得するためには必須であることは誰もがわかっている。しかし、日本のみでなく世界的にデータサイエンティストの不足が足かせとなっているようだ。(編集担当:久保田雄城)