戦後、新聞の購読率は経済の発展、これに比例する進学率の上昇、教養の高まりの中、上昇傾向で推移してきた。しかし、1990年代末以降、新聞発行部数は頭打ちとなり、緩やかな減少傾向に反転している。この背景にはもちろんインターネットの普及等のメディアの多様化がある。
さらに今、新しい時代が到来した。インターネットとリンクしたスマートフォンなどのモバイル機器が普及し、必要な情報へのアクセスの方法は一変した。あらゆる産業がこの変化に対応しなければならない。新聞等のニュース産業も例外ではないであろう。
マイボイスコムが6回目となる「新聞の利用」に関するインターネット調査を11月上旬に実施、その集計結果を14日に公表した。集計結果によれば、新聞を「毎日読んでいる」の割合は約10年前の07年には55.6%であったものが、今回18年調査では34.2%と大きく減少している。ちなみに、09年は52.0%、12年は45.1%、15年は38.7%と単調に減少傾向で推移している。
「ニュース情報を得る手段」としては、「紙の新聞」が51.6%なのに対して、「テレビ番組」が66.3%で今のところ最も多く、「ヤフーなどのポータルサイトのニュースサイト・アプリ」が57.4%で既に紙媒体より多く、テレビを抜く勢いで増加している。
世代別に見ると10~40代の男性では既に「ポータルサイト」が「テレビ」を上回っている。高齢者層で「紙の新聞」、「テレビ番組」が高くなっており、10代・20代では「ニュースアプリ」、「SNS」が高くなっていて、ネット系がテレビを抜くのはもはや時間の問題だ。
新聞読者に限ってみると、「紙の新聞を読む(電子版は読まない)」は39.4%、「電子版の新聞を読む(紙版は読まない)」が7.2%で紙媒体の方が優勢だ。
新聞を読まない理由を自由回答で見ると、「読む時間がなさそうだし、ニュースはネットで事足りる」(男性、29歳)。「ゴミになるから、使い捨てでエコではないから」(男性、33歳)。「お金を払ってまで読もうと思わない。ニュース番組で充分」(女性、25歳)などとなっている。全体としては新聞の膨大な情報を読む時間がない。無料かつ簡潔なもので十分。紙は後始末が大変といった意見が多いようだ。
高度化モバイルが普及する中、毎月の通信費支払いは増加傾向だ。なるべくこれらを節約したいであろう。また情報チャンネルが多様化し、新聞の豊富な情報はむしろ過剰と捉えられているようだ。新聞各社は新しいビジネスモデルの構築を求められている。(編集担当:久保田雄城)