空前の人材不足に対処しようと、企業が積極的に女性の雇用に動いている。そのため女性就業者数は激増し3,000万人台も目前だ。総務省発表の労働力調査では15歳から64歳の女性就業者数は2,962万人に達し、比較可能な1968年以降最多となった。女性就業率も70.0%と初の7割を記録した。
女性就業者の増加のもっとも大きな理由は人材不足以外だろう。人手不足で倒産する企業が後を絶たない中、働く意欲のある女性を雇用する企業は増加している。しかし人手不足だけが女性就業者増加の理由ではない。2013年には政府が経済団体に対し上場企業の役員のうち少なくとも1人に女性をと要するよう要請した。さらに15年には女性活躍推進法が成立し、企業が女性活躍の現状と課題の分析をし行動計画を策定することが義務付けられた。こうした具体的な法律やルール作りが功を奏してきているということなのだ。
子育て世代の女性が働きやすい環境づくりが遅まきながら進められてきたことも、女性の就業率が上昇した理由だろう。育児休業制度はもはや知らない人がいないほど浸透した制度だ。その他にも3歳未満の子供を育てている従業員の希望によって利用できる「短時間勤務制度」、「所定外労働の制限」、子供が小学校に入学するまで適用される「時間外労働の制限・深夜業の制限」などの勤務形態に関するルールが設定されている。子供が病気になった場合には「看護休暇制度」を利用でき、出勤時間や転勤に対する配慮も企業に求められている。社内に託児所を設置する企業も徐々に増えつつあり、子育て世代の女性でも離職しなくてもよくなってきている。
しかし課題がないわけではない。こうした制度があることを知らない女性も少なくないからだ。企業にとってはあくまで努力目標である部分も多く、周知が徹底されていないことも多い。今後は子育て世代の女性がさらに活躍できるよう、企業のより一層の努力と、ルールの徹底遵守が求められるだろう。(編集担当:久保田雄城)