オタクとは特定の分野に極端に傾倒する人々を指す呼称だ。とは言っても職業としての専門家ではなく、もっぱら趣味として、消費者として特定の分野に傾倒する人達であるらしい。この言葉が一般に広まったのは1980年代末に起こった凶悪事件で犯人がオタクと呼ばれる人間のタイプだと報道されてからだ。この為、当初はネガティブなイメージを持つ蔑称のようなものであったが、時代が進むにつれその消費購買力が注目されて、現在では必ずしもネガティブなイメージを伴うものでは無くなった。
24日、矢野経済研究所が「オタクに関する消費者アンケート調査(2018)」の結果を公表している。この調査は日本に居住する15歳から69歳の男女1万408人を対象にして行われ、オタクであるかどうか、分野は何かの同定は自己申告制で行われている。
推計結果によるとオタクの人口は1866万人で、男女比は6:4となっている。分野別に見ると、「漫画」が640万人と最も多く、前回・前々回の調査と比較すると減少傾向だが3年連続でトップだ。次いで多いのが「アニメ」で598万人、やはり減少傾向で推移しているが、この2つの分野が500万人を超えて目立って多くなっている。
1人当たりの年間消費金額をみると、「アイドル」が10万3543円で唯一10万円を超えて2位の「メイド・コスプレ」の6万8114万円を大きく引き離している。「アイドル」の推定人数は280万人で「漫画」、「アニメ」に次ぐ3位だ。「漫画」、「アニメ」の消費金額はそれぞれ2万541円と2万308円で多くはない。
人数と金額を掛け合わせて市場規模を計算すると、「アイドル」が約2899億円で、「漫画」が1315億円、「アニメ」が1214億円となり、「アイドル」が市場規模としては断トツで大きくなっている。
消費者としてのオタクの属性を見ると、20代から30代がボリュームゾーンで、未婚者で現在恋人がいない者が半数を超え、世帯収入は「300~500万円未満」がピークとなっている。分野別に見ると平均年齢が最も高いのが「鉄道オタク」で、平均オタク歴も20年を超えている。政治活動に最も興味を持っているのは「メイド・コスプレ関連」で、逆に興味を持っていないのは「ボーイズラブオタク」となっている。
全体としてみると「アイドル」を除きオタク人数は減少傾向だ。オタクという言葉が一般化したためにあえて自分をオタクと意識する者が減っているのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)