戦意高揚に使った御歌、施政方針演説引用で抗議

2019年02月03日 09:14

 日本共産党の志位和夫委員長は31日の衆院本会議代表質問で、安倍晋三総理が施政方針演説で明治天皇の御歌「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」を引用したことに強く抗議した。

 「平時は淡々とした日常を送る国民も、いざ有事では、内に秘めた雄々しさが姿を現す」というものだが、引用した御歌は「1904年、日露戦争最中に詠まれ、国民と軍の戦意高揚に使われた」(志位委員長)歴史的な経緯がある。

 志位委員長は「日露戦争は日露双方が朝鮮半島などへの支配(覇権)を争った『侵略戦争』であり、この歌を施政方針演説の中に位置づけることは、日本国憲法の平和主義に反するもので看過できない」と抗議した。

 安倍総理が少子高齢化など「国難」をともに乗り越えようという視点で引用したのかどうかわからないが、引用には歴史的意味合いを踏まえた対応が必要だ。

 安倍総理が引用した文脈の前後をみると「平成は日本人の底力と人々の絆がどれほどまでにパワーを持つか、そのことを示した時代であった」との言葉の後に続けていた。

 引用後の文脈は「明治、大正、昭和、平成。日本人は幾度となく大きな困難に直面した。しかし、そのたびに、大きな底力を発揮し、人々が助け合い、力を合わせることで乗り越えてきた。今を生きる私たちもまた、立ち向かわなければならない」と呼びかけ「私たちの子や孫の世代に、輝かしい日本を引き渡すため、共に力を合わせなければなりません。日本の明日を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか」と結んでいた。

 この御歌の引用について志位委員長は28日の記者会見でも「憲法の平和主義に反する」と批判し、「こういうことは、あってはならないことだ、と強く言っておきたい」と語っていた。31日、国会で改めて抗議したもの。(編集担当:森高龍二)