深刻な人手不足の状況が続いている。最近ではこれを人材不足と表現することが多くなったように思われる。人材不足という言葉には単に絶対数が足らないのではなく必要なスキルを持った人材が見つからずミスマッチによって人手不足の状態が生じているというニュアンスがある。
これまでの人材不足はオリンピック関連工事を背景に建設関連や保安関連、中国経済の回復を受けた生産機械関連、そしてIT投資の好調によるITエンジニアが主なものであった。この分野の人手不足は未だ解消されてはいないが、人手不足の状況が続く中、不足している人材の職種にも変化の兆しが見られる。
エン・ジャパンが自社の運営するサイト利用企業762社を対象に「人材不足の状況」についてアンケート調査を昨年下旬に実施、先月末にその結果概要を公表している。
「現在、人材が不足している部門はあるか」との質問に対して89%の企業が「ある」と回答しており、ほとんどの企業が人材不足に悩まされている状況のようだ。業種別に見ると、「IT・情報処理・インターネット関連」、「不動産・建設関連」、「メーカー」の3業種が91%と同率で最多となっている。業種別ではこれまで同様、「IT」、「建設」、「製造」で人材不足が深刻のようだ。
従業員規模別に見ると「1000名以上」の企業が98%で最も高く、次いで「300~999名」が97%、「100~299名」が90%、「50~99名」と「1~49名」が同率で85%と従業員規模が大きいほど人材不足を感じている企業が多くなっている。
不足している職種を複数回答で答えてもらった結果、営業、MR、人材コーディネーターなどの「営業職」が35%で、次ぐ「ICT技術系」の18%を大きく引き離しトップとなっている。こレポートには詳しい資料がないので断定はできないが、ここでの営業職は商品のディテール説明やサービスのコーディネートなど特定の商品・サービスに関する専門知識を持った人材ではないかと考えられる。営業職ももはや特定の分野に専門的な知識を持たなければミスマッチの対象となる時代だ。
人材不足の原因については、「退職による欠員」が57%と約6割を占めトップとなっており、次いで「中途採用での人員確保ができなかった」の51%となっている。自由記述欄を見ると人材不足のため社員に余裕がなくスキルアップの時間が確保できず、また現社員への過負荷が新たな退職を誘発するという悪循環に陥っているところが少なくないようだ。(編集担当:久保田雄城)