人材不足が深刻化しているとされる採用市場を反映して、大学内定率は過去最高を記録した。厚生労働省と経済産業省の発表によれば、2019年3月卒業予定者の就職内定率は今年10月1日の時点で77%となり、調査を開始した1996年以降最高を記録した。就職活動において学生有利の「売り手市場」が堅調な状況が一層浮き彫りになった格好だ。
現在の日本国内の人材不足は年々深刻化している。人手不足が原因で倒産する中小企業も増加の一途をたどっているのだ。少子化による労働人口の減少に加え、人気業界に人材が集中しているのも人手不足が解消しない理由となっている。特に人材が不足しているといわれるのが情報サービスや運輸業界、さらに建設業界だ。そのためできるだけ優秀な人材を多く集めようと、各企業が人材不足を補おうと採用活動の時期を早めている。採用を確定することで学生たちの内定辞退を防ぐことも企業にとって重要事項となっているからだ。全国の1,300社が回答した調査によれば、17年度よりも内定辞退者が増えたと回答した企業は全体の40.3%にも上り、売り手市場によって学生たちが複数の企業に応募し、より雇用条件の良い企業に就職していることがわかった。企業側としては内定を出せば人材を確保できるという保証はなく、募集要項よりも多く内定を出さざるを得ない状況が続いている。
厚生労働省と経済産業省の調査では、18年春に卒業した大学生の98.0%が4月1日時点で就職していた。この数字は過去最高であり、今後も同水準が続くと予想されている。売り手市場が続くことで学生たちには就職活動が有利に進んでいくだろう。しかし人材不足を補うために外国人や高齢者、女性の雇用も増加し続けており、売り手市場がいつまで続くかは不透明だ。企業側も非正規社員の雇用によって人手不足の解消を試みており、今後の就職活動に影響が出るのは必至だろう。学生としても売り手市場だからと安心せず、自分の能力や技能を向上させる努力を続けていくことが求められている。(編集担当:久保田雄城)