現在、世界的に大きな産業構造の変化が起きている。これは日本でも例外ではない。産業構造の変動は当然、それを支える就業構造の変化を導く。特定の業種や企業で活躍できていた職種が産業構造の変化に伴いもはや活躍できない職種へと変わって行くケースも多い。当然、転職等によって労働力の移動が活発になって行くであろう。
この産業構造の変化の背景には情報技術の進化というテクノロジーの変化がある。企業組織もこの変化に合わせ変わっていかなければ自分たちの持つ人材を活かすことが出来ない。現在日本は人材不足の状況にあり、場合によっては自社の有能な人材が他の企業、業種へ移って行くということがあっても不思議ではない。世界ではもはや企業に所属するという意識は薄らぎ、自己の専門的キャリアを成長させることが個人の目的になっていると聞く。
リクルートマネジメントソリューションズが「転職意向と実態調査」を実施し、18日にその集計結果を公表している。調査対象は入社4年目以降の若手・中堅社員515名だ。
転職を考えた動機については、仕事や会社への満足感や貢献感が高い群では4割強が「仕事の領域を広げたかった」と回答している。低い群では「会社の将来に不安を感じた」41.3%、「会社の経営方針や方向性に疑問を感じた」39.5%などが多くなっている。
企業からの「転職の引止め」はあったが、「会社本位」で「単なる労働力の一部」としか見ておらず「他の者でも代替可能」と感じたものは転職を思いとどまっていない。とどまったのは「人材としての期待」を伝えたケース、「担当業務の内容」を変えたケースだ。
転職した者に「満足しているか」と聞いた結果は、「そう思う」が73%、「ややそう思う」まで含めると90%以上が「満足している」と答えている。男女別に見ると女性の方が男性よりも満足度が高い結果になっている。
また、転職後の企業のライフサイクルステージについてみると、成長ステージの企業に転職した者の方が他のステージより満足度が高い傾向になっている。転職先の企業規模をみると、300名未満の企業が36.7%で最も多く、300名以上企業の割合は減少している。仕事の動機としては「仕事のやりがい」「自分の成長の実感」などが多くなっている。
成果を上げている若手・中堅社員ほど「自己の成長」を求めて企業規模に関係なく「成長ステージ企業」へ転職するケースが増えているようだ。有能な社員が保守的な企業を見捨てる時代であるともいえる。(編集担当:久保田雄城)