自衛官募集に法改正「考え持っていない」防衛相

2019年02月20日 06:45

 岩屋毅防衛大臣は19日の記者会見で自衛隊員募集のため自治体から18歳の住民の氏名、住所、生年月日、性別といった個人情報を紙媒体や電子媒体で提出してもらうためにどのように取り組む考えか、自衛隊法改正の必要性も含めての考えはあるのかを記者団に聞かれ「法律の改正が必要かどうかについては当面、そのような考えは持っていない」とするとともに「今の仕組みの中でできる限り多くの自治体に理解・協力をいただけるよう防衛省として誠心誠意努力していきたい」と語った。

岩屋防衛大臣は法律や法令をかえて提出を強制することになれば、逆に反対世論が強まることは必至で、新たな火種になることも予想されることを踏まえたとみられる。

 岩屋防衛大臣は「各党、各会派、国会の中で議論してみていただければ、それはそれで結構だが、様々な意見、議論が出てくるのだろう。前向きの考え方もあるかも知れないし、消極的な反対の御意見もまたあろうかと思う」と述べ「我々としては法改正について議論いただくことは各党、各会派でやっていただいて良いと思うが、この段階で防衛省として法律を変えて自衛官募集に対応しようとは思っていない。今の仕組みの中で最大限努力をしていきたい」と強調した。

 また、記者団から自衛隊だけが個人情報を集めダイレクトメールを送るということを適切と考える理由は何か、と問われ「国民の安全、国土の安全というものを担保するために防衛省・自衛隊はあるので、法令に基づいて提供いただくということに問題があるとは考えていない。自治体の御協力をいただいて防衛省・自衛隊はどういう組織なのかをお知らせさせていただいて、進路選択の一つの材料にしていただけるとありがたいということで、特段の問題はないのではないかと考えている」と答えた。

 しかし、国民の安全、国土の安全の視点からは海上保安庁や警察、消防職員などの募集には、こうしたものはなく、個人情報保護の視点からも本人の同意のないまま提供されることの正当性、「公益目的」に合致した行為と言えるのか、疑問符は消えない。(編集担当:森高龍二)