岩屋毅防衛大臣は12日の記者会見で、安倍晋三総理が10日の自民党大会で総裁としてのあいさつで、憲法改正をめぐり「自衛隊の新規会員募集に都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態がある。この状況を変えようではないか」と憲法9条に自衛隊を書き込む根拠のひとつにあげたが、「都道府県というよりも、むしろ市町村だと思う。そのうち6割ほどが協力をいただけていないということは事実だ」と述べた。
岩屋防衛大臣はそのうえで「6割が協力していただけていないということですけれども、そのうちの3割は該当情報をピックアップしていただいて閲覧をさせてもらっている。後の2割は防衛省の職員が全部閲覧をし、自らピックアップしなければいけないということになっており、相当の手間と時間がかかっている。残った1割については、そういう協力もいただけていないという現状だ」と語った。
岩屋防衛大臣は「憲法について、総理発言にコメントするのは適当でない」とし、自衛官の募集については「現行の仕組みの中で、少しでも多くの自治体に協力いただけるよう、最大限努力を続けていきたい」とするにとどめた。
岩屋防衛大臣の答弁からは4割の市町村などの自治体は住民基本台帳から18歳を中心に、住民の氏名、住所、性別、生年月日という個人データを記載した紙を自衛隊の地方協力本部に提供していることになる。
そして3割は情報をピックアップして閲覧させ、2割は全部閲覧で自衛隊員がこれを書き写している。個人情報だから本人の同意なく提供できないと協力していない自治体が約1割あるということ。
「住民基本台帳の個人情報」は自衛隊法に定める「資料」には当たらず、提供することには違法の疑いがあると問題提起する専門家もいる。(編集担当:森高龍二)