日本人の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度は極めて低い状態にある。外資系マーケティング企業のエデルマン・ジャパンが世界27カ国、3万3000人以上を対象に実施した信頼度調査「2019エデルマン・トラストバロメーター」の日本に関する調査結果を公表している。
日本では1990年代のバブル経済崩壊以降の長期にわたる経済停滞や企業、マスコミの不祥事、政治家の失言等の影響で政府、企業、メディアに対する信頼は低い水準で推移し続けている。この調査の結果によれば、自国に対する信頼度は、世界平均で知識層が60%台前半、一般層が40%台後半で推移しているのに対して、日本では知識層も一般層も30%から40%台前半の低い水準で推移してきた。
しかし、日本においては17年から変化が見られ、知識層での信頼度が上昇し19年調査では知識層で53%、一般層で37%と16ポイントの格差がついている。また、日本人の約6割が現在のリーダーに対する不信感を持ち社会制度に対して不公平感を抱いている。将来への失望感では知識層が21%、一般層が33%と両者ともに高くはないものの一般層の方が12ポイント高くなっている。
こうしたギャップについてエデルマン・ジャパンのロス・ローブリー社長は「知識層における信頼度の上昇は、より情報通のエリート層が、他の先進国で起こる様々な不安要因を目にし、自国と比べることで、日本に対する自信を取り戻したことが原因ではないか」と述べている。
一方、他国の日本への信頼度を見ると、東京五輪等の効果もあってか飛躍的な向上を見せている。特に日本企業に対する信頼度は、中国が70%で前年比22ポイント、ロシアでは57%で20ポイントもの大幅な上昇となっている。唯一日本のみが2ポイントの減少で他の26カ国では上昇している。
また、「自分と家族の経済的状態が5年後に良くなっている」と答えた日本人は、知識層で38%、一般層では16%のみと著しく低い状態で調査対象国の中でも最も悲観的だ。その一方で「自分の勤務先」に対する信頼度は59%と高くなっている。
日本人の自国の企業やリーダーに対する信頼の低下は企業やリーダーそれ自体への不信感というよりも人口減少などのマクロな環境変化が生じる中、リーダー層が適切に対応してくれるかという漠然とした不安なのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)