待機児童問題は小泉内閣時代からクローズアップされてきた問題なので、既に10年以上の解消されるべき課題とされていることになる。近年の人手不足を背景に女性の就労率は増加傾向で再び深刻な待機児童問題が指摘されるようになった。
これに対して自治体は保育施設の増強に努め、一部自治体では待機児童の減少という成果も出ている。とはいうものの保育施設への需要は増加傾向で推移しており、未だ待機児童問題は解消の目途すら立たないという現況のようだ。
IT・コンサルタント業のInsight Techが幼稚園・保育園を利用している・利用を検討している男女1015人を対象に自社サイト上で「待機児童に関する不満」に関するアンケートを2月に実施、その結果を3月下旬に公表している。
集計結果によれば、「現在、自分含め周りの状況から待機児童問題は深刻だと思うか」という質問に対しては、「かなり深刻である」が27%、「深刻である」が45%、「深刻ではない」18%、「わからない」10%となっており、「かなり深刻である」と「深刻である」の両者を合わせると72%が「深刻」だと感じているようだ。
記述された不満の内容を意見タグとして分類した結果を見ると、「保育園に入れず」「保育園に落ちた」など保育園に入れない現状への不満を記述したものが上位を占め、また「仕事が決まらない」、「仕事に復帰する」など仕事に関連した記述もあり、生活やキャリアにも影響が出ている様子をうかがわせる。その他「保育園が少ない」や「保育士が足りていない」など施設自体が足りていないことに対する不満も上位に来ている。
具体的なエピソードの記述を見ると、「仕事は、保育所が決まらないと雇えないと言われて、保育所は仕事をしているお母さんから優先って、矛盾している」、「市役所でも求職しながらの保育園は無理だと取り合ってもらえなかった。きっと私と同じように働きたくても預け先がなく働けないママたちは多いと思う」など、企業側の基準と保育所・行政側の基準が矛盾しているために仕事自体が決まらないという深刻なケースもあるようだ。
この調査結果を見ると、これから働こうとしているにもかかわらず保育施設が利用できないために働くことができないケースが多数存在しているようだ。こうしたケースは入所申請自体が取り下げられるであろうから統計には表れず、待機児童問題は数字に表れている以上に深刻で、さらに人手不足解消への障壁にもなっていると言える。(編集担当:久保田雄城)