寒い冬、風邪の予防として、また血行促進作用や吐き気を抑える効能、殺菌能力などから我々の身近にあった生姜。ここ数年は、その作用が再認識され、数多くの商品が次々と世に送り出されている。
冷しあめやあめ湯などといった生姜入りの飲み物は、関西を中心に昔から親しまれているものの、近年は若者が手に取る機会は少なく、全国的な広がりを見せてこなかった。だが、昨今の生姜ブームを受けて、食品業界や飲料水メーカーだけでなく、製薬会社までもが次々と生姜入り製品を発売し、その売り上げを伸ばしている。
キリンビバレッジは生姜の香りが漂う「ぽっぽ茶」を、サントリーフーズは往年のベストセラーと組み合わせた「生姜のはちみつレモン」を発売。さらに、明治が「温かしょうがのど飴」を売り出している。また、ローソンが「家カフェスイーツ」のラインナップに「プレミアム柚子とジンジャーのロールケーキ」を加えるなど、生姜の入っている商品の充実度は高い。永谷園の『「冷え知らず」さんの生姜シリーズ』に関しては、ホット飲料だけでなく、カップスープやお菓子類、ふりかけなどを展開、さらには積極的に他企業の製品とコラボすることで、酒や漬物にまでその商品の幅を広げ、すでに15億円以上もの売上を達成しているという。
生姜そのものを食べたいという人には、山田養蜂場から販売されている「しょうがはちみつ漬け」は、収穫後2ヶ月以上寝かせて香りも辛みも増した国産の「囲い大しょうが」をスライスし、アカシア蜂蜜にたっぷりと漬け込んでいておすすめだ。しょうが湯やしょうが紅茶、煮物へのアクセントや臭み消しに使えるだけでなく、ケーキやクッキーなどスイーツへの風味づけなどにも使える。また、皮つきの生姜を使用しているため、皮のまわりに多く含まれる血行促進成分「ジンゲロール」がたっぷりと含まれている。「生姜は、体を温めるだけでなく、食欲促進の働きもあることから、寒い季節の食養生としてお料理にも積極的に使いたい食材として人気が高いようです」と担当者はいう。その言葉通り、気温が低下してきた10月以降から、大きく売上を伸ばしている。
さらに書籍としても「体温を上げると健康になる」(サンマーク出版)や「生姜力」(主婦と生活社)などがベストセラーとなるなど、ここ数年は特に、冬場を中心に生姜ブームが起こっているようだ。この現象は、人々の体を温めることへの関心と、生姜がその効果をもたらす身近な食材であること、この2点の要因が合わさり、かつてない程のスポットを浴びているのかもしれない。