現在の職業が正規社員として行っている仕事であるのか、それとも非正規社員なのか、同じ職業でも雇用形態によってそれぞれカテゴライズされている事を実感する場面は多い。クレジットカードを新しく作る時には必ず問われる内容だろう。賃貸契約を結ぶときにも、働き方によっては住みたい物件に住む事ができないケースもあり得る。支払い能力とは収入の多さや安定性によって決まる事が少なくないため、支払いを受ける側が契約時に相手方の雇用形態を調べるのは当然のことと言える。
正規社員であるという事は日本社会の中で安定したステータスを獲得できる事に他ならない。クレジットカードの取得も賃貸契約の可否も、自ずと正社員の方がスムーズに話が進みやすくなる。しかし正社員だからと言ってその人の仕事に対する熱意が非常に高いとは限らないだろう。そしてそれとは反対に、非正規の社員であっても正社員以上に真剣な姿勢で仕事に取り組んでいると主張したい人も多いはずだ。
正社員と非正規社員との格差を調べ、それぞれの働き方について調査結果を発表したのはヴォーカーズである。同社が運営する就職・転職希望者向けの企業リサーチサイト「Vorkers」への投稿を元に約30万人のデータをまとめた。
2020年4月からは同一労働同一賃金が原則となるが、現在の正社員と非正規社員とでは大企業ほど年収格差が大きい事が判明している。ここで非正規社員の平均年収は大企業でも中小企業でも同様にそれぞれ345万円という結果だった。一方で正規社員の平均年収は中小企業で447万円なのに対して大企業では561万円と大幅に跳ね上がり、大企業の正社員ほど待遇が良くなるために雇用形態による収入格差もその分大きくなっている。
しかしこの年収の高さと社員のモチベーションについては一概に関連性があるとは言えないようだ。今回のアンケートによると、基本的に長期勤務である正社員より、雇用期間の定めのある非正規社員の方が仕事へのモチベーションが高い傾向も窺えた。より良い仕事を行うには個人のモチベーションも欠かせない。同一労働同一賃金の原則によって公平な所得バランスを実現できたとすれば、非正規社員の社会的な立場も改善されていくかもしれない。(編集担当:久保田雄城)