国民投票CM、量的な自主規制しないと民放連

2019年05月10日 06:50

 衆院憲法審査会が9日開かれ、参考人招致された民放連(日本民間放送連盟)の永原伸専務理事、田嶋炎番組・著作権部長らは国民投票CMの量的規制について法的規制に反対する考えを示したうえで、自主規制さえしない意向を示した。これに利益最優先と批判の声もある。

 永原氏らは「国民投票法100条は表現の自由を不当に侵害することがないよう留意しなければならないと定めている」などと述べ「立法趣旨に鑑み、法令でCMへの量的規制を行うことは望ましくないと考えている」などと述べた。そのうえで「量的な自主規制もしない」考えを述べた。

 国民投票に伴うテレビCMは資金力のある政党が有利になるのは明白。自主規制しない理由に表現の自由をあげているものの、CM収益を最優先しているとの批判的な声もでている。

 ネット上でも「表現の自由は表向きの意見であって、民放連としてはCMによる広告収入が減るので反対しているのが本心でしょうね」「テレビの情報は視聴者の興味を引く内容ばかり。正しい情報発信ができる保証はなく規制がかかっていいと思う。表現の自由は必要だが視聴者を誘導する内容は必要ないと思う」との声もあがっている。

 国民投票法立法当時、野党側責任者だった立憲民主党の枝野幸男代表は「国民の自由(表現の自由)を守るべきという議論は当時からあり、私も同じ立場だが、一方で、テレビCMに代表される量的偏在が自由放任で良いのかは重要なテーマだったと認識している」と立法当時の経緯をあげた。

 枝野代表は「2006年6月の参考人質疑では当時の民放連担当者がCMの量的規制について『自主規制により、量的なバランスをとる』と発言していた」ことをあげ「我々は民放連側で自主規制をしていただけるものという前提で(立法化へ)動いていた」と述べた。

 こうしたことから枝野代表は民放連が2006年の担当者の発言は自主規制を行うと約束する趣旨のものではないとしたことに「前提としていたことが異なる(自主規制がないという)のであれば、現行法は欠陥法になる」と前提が崩れているので、前提を見直し「自主規制がないという前提で議論しない限り国民投票はできない」と断じた。

 また広告放送に関する意見書を提出している日本弁護士連合会を参考人に呼び、慎重に議論を進めるよう求めた。

 「国民投票をめぐる広告規制は党派問わずある程度は必要だというコンサンスが出来ていたように思う。この件で批判するとしたら民放連のほうだ」との意見も上がっている。(編集担当:森高龍二)