政府統計によれば昨年より消費態度は悪化の傾向で推移している。先日発表された観光庁の国内旅行統計の推移を見ても減速感が強くなっている。しかし消費額を客単価で見るとわずかながら増加傾向だ。秋の消費税増税の影響もあり、節約ムードが強くなっている中で外出頻度は減少傾向のようだが、消費者は消費の質は落とさず、一回当たりの消費額は減らさないというのが最近の傾向のようだ。
これは外食にも同様の傾向が出てきているようである。また消費税の軽減税率の混乱もあり外食への消費者態度も外食回数の抑制の方向で変化を見せ始めている。
日本フードサービス協会が4月の外食産業市場の動向について調査し、その結果を5月27日に公表している。この4月は東日本を中心に気温が上昇せず気候が芳しくなかったこともあり、客足にマイナスの影響を与えたようで客数は全体的に前年を下回った。しかし、季節メニューの投入や価格の改定等により客単価が上昇、全体としては売上額の前年比は101.7%と32カ月連続して前年を上回っている。
業態別に見ると、「ファーストフード」では、売上は102.7%と前年を上回った。「洋風」がランチメニューや期間限定メニュー等の好調で客単価が上昇し売上は103.4%と上昇。「和風」では季節に合わせた新メニュー、割引や定食メニューの好調などで客単価が上昇し売上は104.9%。「麺類」は価格改定による単価上昇で売上は101.6%の上昇となっている。
「ファミリーレストラン」は全体売上が100.7%と前年を上回り、客数と店舗数は減少する一方で客単価は上昇、売上は「洋風」で99.1%、「和風」で99.6%と減少したが、「中華」は客数と客単価が上昇し売上は104.9%と増加。「焼き肉」も客数、客単価がともに増加、売上は103.4%となった。
「居酒屋」は客単価が上昇したものの客数と店舗数がともに減少し売上99.4%となった。「喫茶店」は客数が前年を下回ったものの客単価が上昇、売上は101.9%と増加になった。
いずれの業態も客数は減少傾向で、これまでの薄利多売では生き残れないようだ。外出控えめな中、消費者は質の高い商品・サービスを求めており、付加価値の高い商品やお得感のあるサービスによって高単価顧客の引き込みが重要になってきているようだ。(編集担当:久保田雄城)