人手不足が深刻化している。既に人手不足や人件費高騰で黒字の状態でありながらも労務倒産に至る企業が増加し始めている。求人倍率は1.6を超え1970年代前半なみの高水準を維持し続けているが、産業構造の急激な変動の中、業種によって大きなバラツキが見られる。
人材獲得競争の激化で人手不足業種では賃金高騰が著しい。当然、人材獲得力は資本力、資金調達力によって格差が生まれ、その結果、人手不足それ自体により、あるいは人件費高騰による資金ショートによって営業を停止せざるを得ない事業所、企業ももはやめずらしくない。
これに関し、リクルートキャリアが2018年度下半期の「中途内定者の充足状況」について、企業の人事担当者830名を有効サンプルとして3月にアンケート調査を実施し、その結果を22日に公表している。
調査結果によれば、18年度下半期(18年10月~19年3月)の採用計画に対し、中途内定者が計画を下回った企業は42.0%で、上半期と比較し6.3ポイント増加している。4割を超える企業で人材が充足されていない深刻な状況だ。
業種別に見ると、計画割れは「流通・小売・外食」が49.3%で最も多く、半数の企業で人材を充足できない状態だ。次いで「製造」の46.5%、「サービス」44.4%、「建設・不動産」38.9%、「金融・商社」37.7%、「IT・通信」33.3%の順となっている。いずれも求人倍率が高い業種で政府統計とも整合している。「建設」や「IT」はこの中では低い値を示しているというものの充足企業の割合は7割にも満たない。
従業員規模別に見ると、計画割れ企業の割合は「1~99人」が48.5%、「100~299人」が43.5%、「300~999人」が41.6%、「1000人~4999人」が39.2%、「5000人以上」が37.0%となっており、従業員規模が小さくなるに従って計画割れ企業の割合が増加し、明らかに規模による格差が見られる。
地域別で見ると、「地方圏」では46.8%の企業が計画割れで、一方「3大都市圏」では40.4%となっており、地方圏で6.4ポイント未充足企業が多い結果となっており、地域格差も存在しているようだ。
労働力不足による供給力の減少はマクロ経済全体の縮小につながる。これまで人口減少による消費低迷など内需不足による経済の停滞が議論されてきたが、既に労働力不足による経済低迷の懸念へと状況は移っているようだ。労働力を増加させる更なる政策が必要だ。(編集担当:久保田雄城)