立憲民主党は7月参院選に向け、党の政策ビジョンを24日、発表した。アベノミクスによる実質賃金低下が家計を圧迫、経済に最大のマイナス要因になっているとし、中小零細企業への支援を拡充しつつ、5年以内に最低賃金を1300円に引き上げることをめざすとともに官民非正規をできる限り正規雇用化し、ワーキングプアを解消するなど、生活の安定化を第一に挙げた。
非正規雇用の増大は貯蓄ゼロ世帯を増やし、いまや貯蓄ゼロ世帯が3割を超えるまでになっている。こうした実態を踏まえ、生活の安定化策を筆頭にあげたとみられる。
また老後の安心を高めるため、安心して医療・介護を受けられるよう年金の最低保障機能を強化するとともに、子育て・教育では公立小中学校の給食の無償化、国公立大学の授業料半額程度への引き下げと私学助成金の増額を図るとしている。
消費税については10%への引き上げを凍結し、金融所得課税や法人税などを見直し、税の累進性を強化し公平な税制へ転換する。
エネルギー政策では原発再稼働を認めず、原発ゼロ基本法案の早期成立を目指すとともに、電力の地産地消を促す分散型エネルギー推進4法案を成立させ、自然電力100%を目指す。環境問題では特に廃プラゼロ法を制定し、脱使い捨てプラスチック社会を目指す。
透明性の高い「まっとうな政治」を実現するために、企業団体献金を禁止、各議員の政治資金収支報告書をまとめてウェブ公開させる法改正を行うほか、公文書管理法と情報公開法を強化。「情報公開の徹底と国会による行政への監視を強化する」。幹部官僚が国民でなく官邸を向いて仕事をする原因になっているとの指摘がある「内閣人事局制度」を見直し、国民に開かれた透明性の高い行政組織、行政運営を目指す。安倍政権が成立させた「特定秘密保護法」「共謀罪」「カジノ法」などは廃止する。
憲法については「国民の権利拡大に寄与する観点からの憲法議論を進める」一方「憲法9条の改悪や解釈改憲には明確に反対し『基本的人権の尊重』、『平和主義』、『国民主権』という日本国憲法の原則を徹底して守る」としている。
外交・安全では「安全保障環境を直視し、国民の生命・財産・領海・領空を守る」としたうえで「立憲主義を逸脱する安保法制は廃止する」「専守防衛の範囲を超えない防衛力整備を行う」「我が国固有の領土である北方4島の帰属問題の解決を図る」「在日米軍基地問題では地元の負担軽減を進め、日米地位協定の改定を提起する」「辺野古基地建設、埋め立て工事は中止し、普天間返還のための交渉を行い、粘り強く成果を求める」としている。
枝野幸男代表は「立憲民主党は、あなたの声から始まった。新しい政治をつくる力は、あなたの中にある。立憲民主党は、あなたです」と呼びかける。(編集担当:森高龍二)