クラウドファースト戦略、順調に拡大。現在2兆円市場から23年には7兆円市場に

2019年06月28日 07:04

画・クラウドファースト戦略、順調に拡大。現在2兆円市場から23年には7兆円市場に。

IDC Japanが国IT市場予測を発表。2018年の市場規模は前年比4.2%増の10.1兆円。クラウドファースト戦略が増加、クラウド関連の割合は20.2%から23年には54.4%に達すると予測。

 景気の失速が懸念されている中、IT投資は順調に推移している。この背景には、まずWindows7のサポート終了に伴うWindows10への移行という短期的なブームがある。もう一つ中長期的には、AI・IoT、ビッグデータなどへの適応をにらんだDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資があり、またクラウドファースト戦略を採用する企業が増大し、仮想化技術を利用したクラウド化によるITインフラ構築への投資が増加傾向で、この動向は今後ますます活発化すると見られている。

 4日、IT専門調査会社のIDC Japanが国内エンタープライズIT市場の現況と今後の動向についてレポートを公表した。レポートによると2018年の国内市場規模は前年比で4.2%増加し10兆1441億円と推計されている。また18年から23年までの年間平均成長率の推計値は3.4%で順調に成長し、その結果23年の市場規模は11兆9983億円になると予測している。

 現在、クラウドファースト戦略に取り組むユーザー企業が増加しているが、こうした市場動向を背景に、多数の企業でサーバーを共有する「パブリッククラウド」とともに自社内に支店や子会社と共有するクラウドサーバーを置きセキュリティ等をカスタマイズできる「ホステッドプライベートクラウド」を提供するために、サービスプロバイダーによる積極的な投資が活発化している状況だ。

 IDCの推計では、国内市場全体に占めるクラウド関連の売上額シェアは18年の20.2%から23年には54.4%にまで拡大すると予測している。現在、多くの企業でDXへの取り組みが活発化しているが市場規模は限定的だ。一方、データ駆動型ビジネスを実現するための投資は堅調に増加し、今後これが急速に拡大し市場の成長を牽引して行くとレポートでは予測している。

 ハイブリッド・マルチクラウド時代を迎えデータ駆動型ビジネス・DXの支援がベンダーの競争力強化に欠かせない要素となってきているとレポートは指摘する。IDC JapanのITサービス・リサーチディレクター松本聡氏は「ベンダーがユーザー企業のDX支援を競争力として強化するためには、ソリューションの提供ではなく、ビジョンの共有とコミットメント、クラウドネイティブにおけるエコシステムの強化、サブスクリプションビジネスへの対応が重要である」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)