原発新増設「否」に挙手せず、自民総裁のみ

2019年07月04日 07:08

 安倍晋三総理(自民党総裁)は3日行われた日本記者クラブ主催の党首討論会で「原発の新増設を認めない」のか、挙手での返答に、ただ1人、手をあげなかった。そのうえで安倍総理は「自民党は新増設の想定はしていない」と付け加えたが、認めないとは言わなかった。党首討論会には与党の自民党、公明党、野党の立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、日本維新の会の党首が出席した。

 党首討論ではいくつかのテーマに挙手での回答を求める問いがあったが、挙手しなかったことに安倍総理は「政策的な議論をしなければならない。政治はイエスかノーかではない」と語り「今の段階では答えられなくても直ちにノーではない。印象操作をするのはやめてほしい」と語った。

 しかし、原発について自民党は4日公示の参院選公約でも「原発を重要なベースロード電源と位置づけ、活用してまいります」と明記。「原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、立地自治体などの理解と協力を得て再稼働を進める」とも公約に掲げている。

 原発依存度を可能な限り低減する方針とはしているものの、電事連や経団連の建て替え、新増設への姿勢を求める要望があるなか、世論の反発を恐れ、新増設を認めるとは言えないのが実情で、これとは真逆の「新増設を認めない」に挙手できるはずがなく、立ち位置を鮮明にする他党の代表に比べ、積極的に挙手しなかったとも思われることから、「印象操作」との指摘は当たらないといえよう。逆に自民党は新増設に道を残したといえそう。(編集担当:森高龍二)