改憲発議阻止できるか、夏の決戦「参院選」

2019年06月16日 10:05

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7月4日公示、21日投開票の日程で実施が濃厚になっている参院選挙

 7月4日公示、21日投開票の日程で実施が濃厚になっている参院選挙。改憲発議が可能な議席を自民など改憲勢力が維持するのか、憲法第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせない。原発ゼロを目指す、幹部公務員人事に対する内閣関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討するなど13項目で合意した野党(立憲・国民・共産・社民・社会保障を立て直す国民会議)と市民連合が参院で改憲発議できない議席にまで勢力を増やせるのか、改憲に絡む参院選挙になる。

 そうした中、32ある1人区は文字通り、与党(自民・公明)VS野党(立憲・国民・共産・社民・社会保障の5党会派と市民連合)の一騎打ちの構図が実現した。3年前の参院選挙では野党が1人区の11の選挙区で勝利。今回どこまで上乗せできるか注目される。

 憲法改正発議には今回、参院議員定数が3議席増になることから参院定数「245」の3分の2にあたる「164」議席が必要になる。このうち改選されない改憲勢力が「77」あるので「87」議席を獲得すれば改憲発議できる状態を維持することになる。野党がこれを切り崩しできるかが最大の焦点。

 加えて、改憲発議を巡る議席勢力の変化とともに注目されるのが今回改選議席で与党が『53議席』以上を維持するかどうか。53議席を獲得すれば非改選と合わせて過半数を維持するが、52以下になれば衆参でねじれが生じることになる。

 現状のように衆参での予算委員会を開くよう野党が求め続けても、数の力で応じない政府・与党をみていると、国会のチェック機能を正常にするには「ねじれ」が生まれる方が良いように思われる。

 安倍長期政権で閣僚や自民党議員に「驕り」と思われる強引な姿勢が目立っている。直近は金融庁金融審議会ワーキンググループがまとめた報告書を「政府の政策スタンスと異なるので、正式な報告書として受け取らない」などと受け取り拒否した麻生太郎副総理兼財務大臣兼金融担当大臣の発言。

 年金のみの収入で65歳の夫と60歳の妻が暮らしていくには月額5万5000円不足する。そのため30年では約2000万円不足することになるとした報告書の根拠となった数字は総務省の家計調査に基づくもので、政府の数字を根拠にしたものだった。

 自民党の森山裕国対委員長は「報告書はもうなくなっている。なくなっているのだから、予算委員会になじまない」と言い放って無視し、予算委員会を開催して議論する考えも全くみせない。

 政府の意向に沿う報告書でなければ受け取らないということが起これば、審議会は政府の意向を汲んだ忖度内容の報告書をまとめて提出することになり、審議会としての機能を失う。審議会に答申を求めること自体に意味がなくなる。

 年金収入だけでは毎月5万5000円が不足するという現実があるなら、そのためにどうするか。その事実を直視し、衆参予算委員会で議論し、あるべき年金の姿を構築していくべきではないのか。委員会も開催しないで今国会を終えるようなら、衆参ねじれ現象になるよう参院選の結果を期待したい。(編集担当:森高龍二)