ICTの急速な進化とグローバル化でもはや英語は職業人にとって必須のスキルと言える。商談はもとより、市場情勢やテクノロジーの知識を得るためにもインターネット上の記事や動画などから英語を読み、聞き取って情報収集しなければならない時代だ。日本のビジネスマンは先進国のみでなく新興国も含めた世界の中で最も英語の不得手な人達であると以前より指摘されてきた。ここにまたそれを裏付ける資料が提出された。
16日、国際ビジネスコミュニケーション協会が2019年度のTOEIC L&R IPテスト(聞き取りと読解の団体テスト)を実施した企業・団体における新入社員と一般社員のテスト結果を集計し公表した。
レポートによれば受験した企業団体数は735社、そのうち新入社員の数は3万5552人で、その平均スコアは488点だった。満点は990点であり、550点以上が高卒レベルとされているので高卒レベルから程遠い結果だ。文系・理系別に平均スコアを見ると、文系が535点、理系が468点で理系の方が低く、文系・理系ともに高卒レベル550点をクリアしていない。英語で最新のテクノロジーの知識を獲得して行かなければならない理系でスコアがより低くなっているのは意外とも言える。
IPテストというのは企業や団体で行われるものであるが一般には試験日などが決められた公開テストを受ける者の方が多く、その19年5月の平均は596.8点でIPより高い。これは公開テストの受験者の方が留学や外資系企業入社などへのライセンスとして目的を持って受験する者が多いからであろう。
業種別に見ると、新入社員では「その他」を除くと「公共団体」が693点で最も高く、次いで「鉱業」の670点、「マスメディア」の647点の順となっている。一般社員では「マスメディア」が613点で最も高く、次いで「公共団体」604点、「水産・農林」の601点の順となっている。ちなみに「証券・保険」573点、「商社」が537点、「金融」530点、「政府機関」530点だ。
新入社員の専攻別で見ると、文系では「ビジネス・経済学等」の大学院が699点で最も高く、理系では「保健・医療」の大学院が595点でトップとなっている。ちなみに「コンピュータサイエンス・統計学」の大学院は559点だ。理系の英語力の弱さがITをはじめとするテクノロジー進化の遅れとも関係しているのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)