OECDやイギリスのグローバル人材会社が日本のスキル不足の低さを指摘し話題になった。スキル不足というのは産業の求める現代のテクノロジーと日本人スキルのミスマッチのことだが、絶対的に労働力人口が減少している日本では深刻な問題であることには間違いない。
上記の人材会社はスキル不足の原因を日本の教育制度と人事評価・労務管理制度であるとしている。それでは日本の勤労者は時代に合ったスキル習得の努力をしていないのだろうか。そのような事実はないらしい。
エン・ジャパンが自社の運営するサイトを利用している35歳以上のユーザー(有効サンプル1341人)を対象に「リカレント教育(学び直し)」についてアンケートを4~5月に実施、その集計結果をレポートとして12日に公表している。
レポートによれば「これまでリカレント教育を行なったことはあるか」と尋ねたところ、「ある」との回答は半数近い47%であった。さらに年収1000万円以上に限ると6割近い56%が「ある」と回答しており、新たな知識・スキル習得と年収には相関がありそうだ」。「ある」と回答した者に具体的な内容を聞いたところ、トップは「専門的な資格の取得」の47%で半数近く、次いで「経営・ビジネスに必要な知識や能力」の44%、「英語などの語学力」が42%と、「自己の専門」、「経営一般」、「語学」の3つが目立って多くなっている。
年収1000万円以上に限ると、「経営・ビジネスの知識や能力」が60%、「語学力」57%、「マネジメント」32%と企業経営全般、マネジメント、語学が全体と比べ高くなっている。リカレント教育の効果に関しては、「業務の質を高めた」が54%と断トツで高くなっており、特に1000万円以上の者では65%となっている。以下「転職で役立った」が30%、「新たな人脈が築けた」29%となっており、リカレント教育を受けることは人脈を広げるチャンスにもつながるようだ。
行なっていない理由については「学費の負担」が59%と最も多く、次いで「労働時間の関係で時間が取れない」53%とどちらも半数超えだ。「今後、リカレント教育をしたい(続けたい)か」という問いには90%が「したい」と回答しており年収による大きな差は見られない。
日本の勤労者、特に年収の高い者ほど学び直しに積極的だ。しかし、上記人材会社が指摘しているように人事評価・労務管理の慣行もあり、スキルを伸ばしてもなかなか評価されないという現状もある。人事評価制度の改革が重要な課題と言える。(編集担当:久保田雄城)