5年後には高齢者の4人に一人が認知症? ミツバチの恵みが一筋の光となるか

2019年07月18日 11:06

山田養蜂場・認知症調印

山田養蜂場はアルツハイマー病などの神経変性疾患の世界的権威のデール・ブレデセン博士と認知症対策事業の基本合意に至り、2019年7月9日に同社本社にて調印式を実施した。

 超高齢化社会に突入している我が国にとって、癌や生活習慣病などと並んで深刻な問題となっているのが「認知症」だ。九州大学の二宮教授らが行っている「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、2025年には認知症患者が730万人に達し、実に65歳以上高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されている。

 認知症はご存知の通り、脳の働きが低下してしまうことによって引き起こされるさまざまな症状のことだ。主な症状としては記憶障害がある。歳をとると誰しも物忘れがひどくなってしまうものだが、認知症の場合は経験そのものが欠落してしまう。朝食べたものを思い出せないどころか、「食べた」ということすらも思い出せない。人の名前を度忘れするのではなく、その人自体の存在が分からなくなったりしてしまうのだ。ほかにも、日付や場所がわからなくなる「見当識障害」や、物事を順序だてて行動することが困難になる「実行機能障害」、さらには過食や拒食といった摂食障害、徘徊、幻覚を見たり、妄想と現実の区別がつかなくなったり、不潔行動などがあらわれることもある。

 認知症を患ってしまうと、本人の人生、命や健康に影響するだけでなく、家族にも大きな負担をかけてしまう。また、介護費の増加や介護離職の増加など、社会的な弊害も大きい。

 できることなら、誰もが生涯、認知症とは無縁で暮らしたいと思っているはず。しかし、残念ながらまだ、認知症を完全に予防したり治癒させることのできる方法は見つかっていない。世界中の様々な医療機関や大学、団体などが研究を進めているが、現段階ではまだ、認知症は不治の病なのだ。

 とはいえ、希望がないわけではない。

 例えば、近年の研究結果では、ミツバチが木の芽や樹液、あるいはその他の植物源から集めた樹脂製混合物「プロポリス」に認知症並びに認知機能低下の予防効果が期待できることが分かってきたのだ。蜂蜜やローヤルゼリーなどに比べると、ミツバチ産品の中ではあまり知られていないが、実は人類はプロポリスの優れた抗菌効果を古くから生活の中で活用してきた。紀元前数百年の古代エジプト時代には、ミイラを作る際の防腐剤としても利用されていたという。

 現在、すでにドイツなどヨーロッパの一部の国においては、医薬品としても正式に認可され、医療現場でも広く利用されていることから、世界的に注目が高まっている。

 日本でも養蜂大手の山田養蜂場が、早くからこのプロポリスの優れた健康効果に着目しており、 10年前から「プロポリスの認知症予防への有用性」をテーマにした自社研究のほか、国内外の研究者や研究機関への研究助成、海外企業と提携した診断システムの開発、自社のテレマーケティングシステムを通じたカウンセリングサービス等の準備や教育に力を入れている。

 さらに同社は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の世界的権威のデール・ブレデセン博士と共に超高齢社会の課題解決を目指す、認知症対策事業の基本合意に至り、2019年7月9日には山田養蜂場本社にて調印式を実施している。

 それに伴い、同社ではこれまでに投資してきた5億円に加えて3億円の追加投資を決定。デール・ブレデセン博士が提唱する「リコード法」に基づいて、プロポリスを主要成分としたサプリメントの開発や提供、カウンセリングサービスの提供、全国のクリニックと連動した治療サービスの充実、その他有益な生活習慣等のプログラムを提案していく予定だという。

 近年、化粧品などのコスメ業界でも、ハチミツの美容効果などが注目を集めている。山田養蜂場らの活動が進展し、周知されていけば、一大ミツバチブームが巻き起こるかもしれない。(編集担当:今井慎太郎)