100歳以上が7万人の大台に突入。認知症リスクを低減する「認トレ(R)」のススメ

2019年01月06日 12:52

画・認知症の継続介護。介護者自身の精神状態維持に不安、6割超。

厚生労働省が発表した統計によると日本国内の100歳以上の高齢者は6万9785人。

 厚生労働省が発表した統計によると、日本国内の100歳以上の高齢者は6万9785人。今年2019年度はついに7万人を超えるのではないかといわれている。

 長寿自体は大変喜ばしいことだが、それも健康でなければ意味がない。いくら長生きしても、人生の後半のほとんどがベッドに寝たきりや、病に苦しむような生活だけは避けたいものだ。本人だけでなく、家族にも迷惑や苦労をかけてしまうことにもなりかねない。

 中でも深刻な問題となっているのが認知症だ。現在の日本は核家族化が進み、とくに都市部では独居老人や、夫婦のみの世帯が年々増え続けており、家族内で介護できる者がいなかったり、妻や夫が相手の介護をする老々介護が問題となっている。身体能力の衰えは仕方がないとしても、せめて認知症にはならないようにしたいと思うのは万人の願いだろう。

 実際、内閣府が20歳以上の日本国民3000人(有効回収数1682人)を対象に行った「認知症に関する世論調査」でも、家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか(74.9%)、家族や大切な思い出を忘れてしまうのではないか(55.8%)、家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか(56.5%)など、多くの国民が不安に感じていることが示されている。

 一度発症してしまうと、現在の医療技術では根本的に治療することは難しいといわれている認知症。しかし、軽度認知障害(MCI)と呼ばれる認知症の前段階で早期発見し、適切な治療や療法を施すことができれば、認知症を予防できる可能性は高まるということもわかってきた。つまり、認知症になる前ならば、そのリスクを減らすことは可能かもしれないのだ。
 
 認知症の予防については、テレビや雑誌などのメディアでも様々な方法が示されているが、その中でも最近、注目されているのが、認知症予防専門医の広川慶裕氏が提唱する「認トレ(R)」だ。広川氏は、2014年に京都の宇治市に認知症予防(MCI)専門クリニック「ひろかわクリニック」を開院、東京の港区に「品川駅前MCI相談室」を開設した。認知症予防医として治療を行う傍ら、認知症の予防や進行遅延・改善を目的とした認知症予防トレーニング「認トレ(R)」を開発し、各地で「認トレ(R)」教室を開催したり、書籍などでそのノウハウを公開したり、積極的な活動を行っている。

 「認トレ(R)」は“認知症は生活習慣病の終着駅である”という考えのもと、脳の活性化、身体能力の向上、食生活の改善、生活改善の4方面からの生活習慣病にアプローチする認知症予防のトータルメソッドで高齢者でも簡単に行えるように考えられている。

 知的トレーニングや身体トレーニングに抵抗がある場合は、まずは食生活や生活習慣の改善から始めてみるのもいいだろう。「認トレ(R)」では、炭水化物や糖類などの糖質を控えめにして、タンパク質を多く摂る「高タンパク型粗食生活」を勧めている。

 また、最近の認知症をめぐる研究では、歯周病などの末端炎症が全身をめぐり脳に到達する、つまり脳炎症を引き起こすことが、アルツハイマー型認知症の要因の一つであることが明らかになってきた。体内の炎症を抑えることこそが、重要な予防策なのだ。オランダの国際学術誌『Journal of Alzheimer’s disease』では、ミツバチ産品であるプロポリスが抗炎症力が高く、高齢者の認知機能の低下や全身性炎症を低減する効果があるという論文を掲載した。

 人生60年といわれたのはもう過去の話。現代人は、その倍の人生を生き抜かなければならない。健康的で元気な100歳を目指して、日々の生活の中に「認トレ(R)」を上手く取り入れたいものだ。(編集担当:松田渡)