受信料を払った人だけがNHKを視聴可能にする「スクランブル放送」の導入を主張しているNHKから国民を守る党が参院選で議席を得、政党要件を満たしたのを受け、記者団が「スクランブル放送」への考え方について質したのに対し、石田真敏総務大臣は23日の記者会見で「NHKの放送をスクランブル化するということは技術的な話でなく、NHKの基本的性格を根本的に変えて二元体制を崩しかねない」などと賛同できないとの考えを示した。
石田総務大臣は「我が国の放送は、公共放送NHKと民間放送の二元体制のもとで発展をしてまいりました。NHKには災害報道とか、政見放送など公共放送の社会的使命を果たすことが求められる中で、その財源を広く国民・視聴者に公平にご負担いただく、受信料によって支える制度としてきた」と主張。
「二元体制については国会で、全会一致でNHK予算が承認されるなど、これまで日本に定着してきたものであり、この点を重視する必要がある」などと述べた。
しかし、最高裁が「国民の知る権利を実質的に充足」するために「受信料」が認められると、国民の知る権利にともすることを根拠にしたのに対し、NHKに対しては今年に入ってからも「辺野古サンゴ移植についての安倍総理の虚偽発言を検証せず放送した」「不正統計調査問題で内部調査の問題点を伝えない」など、安倍政権への「忖度報道」、「癒着報道」との指摘や「NHKは放送法を守れ」といった集団訴訟も奈良地裁で起きている。
加えて、先の参院選挙では市民連合と立憲、国民、共産、社民など5党派が「報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築する」ことを共通政策にあげ合意した。放送事業者への政治介入やNHK放送の在り方に関する危惧がそうした合意を生んだ。
二元体制が国会承認された時代と現在とでは情報環境もメディア環境も国民を取り巻く環境は革新的に変化している。国会でその在り方を議論する時期に来ているとの声も強い。その声を反映してNHKから国民を守る党が政党要件を満たした現実に向き合うことが必要なようだ。(編集担当:森高龍二)