職場のサポート、未だ「精神論」。上司の「知識・スキル不足」に不満

2019年08月07日 07:24

画・職場のサポート、未だ「精神論」。上司の「知識・スキル不足」に不満。

リクルートマネジメントソリューションズが「職場におけるソーシャル・サポート*実態調査」を実施。サポートを十分得られていると感じているのは6割。不満は上司の「知識・スキル不足」「精神論」。

 1920年代にアメリカのホーソン工場で行われた実験によって人間関係が生産性に大きな影響を与えることが分かった。メンバー間の良好な人間関係は生産性を向上させ、劣悪な人間関係は生産性を低下させる。この良好な人間関係をメンバー間で構築して行ける人格をリーダーシップと呼びマネジメントクラスの人格の第一条件だ。

 近年ではソーシャル・サポートという社会心理学概念をマネジメントに取り入れようという考え方も出てきている。ソーシャル・サポートとはメンバー間の物理的・心理的な支援の関係のことであり、ソーシャル・サポートが高いほど高いストレスが及ぼす悪影響を緩和することが可能となり集合的生産性の上昇につながる。

 19日、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所が20~40代の会社員603名を対象に「職場におけるソーシャル・サポート実態調査」を3月に実施し、19日にその結果を公表している。

 仕事を進めるにあたって周囲からのサポートの必要度を調べたところ8割以上が「必要」と回答している。一方でサポートの十分度を調べた結果では約6割が「十分」と回答しており、必要度より低く十分なサポートが実現していない実態のようだ。

 サポートは「直接サポート」、「情報サポート」、「情緒的サポート」、「評価的サポート」の4種類に分けられるが、「直接サポート」、「情報サポート」、「評価的サポート」は上司への期待が最も高く、特に「評価的サポート」で半数近くの者が上司にこのサポートを期待している。一方、「情緒的サポート」は同僚への期待が最も高くなっている。

 自由記述で「期待はずれだった上司や同僚からのサポート」をみると「知識・スキル不足によるもの」、「精神論のみ」、「自分本位、親身になってくれていない」、「フォローがなく具体的指導がない」など内容、態度、タイミングが期待と異なっているものが多くなっている。

 職場での援助要請については「十分している」10.4%、「している」27.7%、「どちらかといえばしている」36.8%で合計すると74.9%と4人に3人は援助要請をしている。

 「5年前と比べて職場の人間関係が希薄化しているかどうか」という質問には、「している」が19.4%、「どちらかといえばしている」が25.2%で、合わせて44.6%が希薄化していると回答している。男性で年齢が高い者ほど希薄化を感じている傾向が強い。

 レポートでは「全社的な制度・仕組みを通じて、人間関係構築やサポートし合う風土が醸成できる可能性が示唆された」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)