厚労省の推計では2017年の平均寿命は男性81.1歳、女性87.3歳となっている。これはあくまでも平均値で現在55~60歳の男性の「2人に1人」は90歳超、女性の半数は100歳近くまで生きると推定されている。人生100年時代と呼ばれる所以だ。
医療技術の進歩により単純に寿命が延びているだけでなく、医療技術の進歩と保健知識の普及も相まって健康寿命も延びている。現在の60歳代は昔の同世代と比べ元気で活動的だ。年金制度の改革や働き方改革を背景にフルタイムで働く60代は急増している。たしかに60歳代を高齢者あるいはシニアと呼ぶにはしっくりこない時代になってきたと言えるかも知れない。
マーケティング業のリサーチ・アンド・ディベロプメントは12年からシニアのリアルな姿を知ることを目的に65~74歳の女性による座談会「iDOBATA KAIGI」を開催してきたが、この6月に座談会は累計100回目となった。同社ではこの100回分の内容を分析し、3つのキーワードを導出し18日にこれを発表した。
3つのキーワードの1番目は「自分たちはシニアじゃない」だ。座談会の会話の内容を見ると、より高齢の80代や親世代のことを「シニアの人は・・・」と表現することが頻繁にみられる。これは本人達が自分たちをシニアとして自覚していないことを表しているとレポートでは指摘する。2番目は「『健康』とは“老い”と向き合い現状を維持すること」だ。シニアの健康意識は高いが若い世代の考える健康とはニュアンスが異なる。“老い”と向きあい「現状を維持」することが「健康」であるということの認識のようだ。そして3番目は「夫とは近づき過ぎず、遠ざけ過ぎず」で「夫と一緒にいるのは朝と夕食だけ」と程よい距離感を保っているようだ。
同社が行った調査によれば「何歳以上をシニアだと思うか」という質問に対する回答の平均は、12年には62.4歳であったものが17年には64.2と5年で2歳上昇している。回答者の年代別にその平均値をみると年齢が上がるにつれてその回答平均も高くなっている。
コミュニティマネージャー堀好伸氏によれば、12年以降は「団塊の世代の大量退職を迎える年で第2次シニアブームが到来し、市場では高齢者需要(老人=弱者)に代わり『アクティブシニア』という存在が注目され始めた時期だった。シニアに対する定義はこの頃から変化している。」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)