2009年からFIT(固定価格買い取り制度)が導入され、これに伴い多くの事業者が太陽光関連ビジネスに参入し、「太陽光バブル」などとも呼ばれた。これに対し経産省は買取額を段階的に引き下げ関連企業に大きなダメージを与えることとなり、15年以降、太陽光関連事業者の倒産も急増するようになった。
来年19年度末にはFIT契約が終了する。このFIT終了による業界の混乱は2019年問題と呼ばれ、それを前に事業者は新たなビジネスモデルを模索して行く必要がある。安易な参入を行った企業が淘汰されて行くのは確実であるが、既に多くの企業の破綻が生じておりそのピークも峠を越したようだ。
7月下旬に東京商工リサーチが2019年上半期(1-6月)「太陽光関連事業者」の倒産状況について調査結果を公表している。19年上半期の「太陽光関連事業者」の倒産は32件で前年同期と比べ25.6%の減少となり、上半期としては2年連続で減少した。一方、負債総額では68億6400万円で前年同期と比べて55.2%の減少で半減となった。安易な参入を背景とする淘汰的な倒産ブームはピークを越したようである。
負債額別に倒産件数の構成比をみると「10億円以上」が3.13%、「5億円以上」が0%、「1億円以上」が46.9%で、約半数が「1億円以上5億円未満」、「5千万以上」が15.6%、「1千万円以上」が34.4%となっており、負債総額では1億円以上での減少が目立ち、特に5億円以上の倒産が前年同期比100%の減少で大型倒産は減少しているようだ。
原因別にみると、「販売不振」が22件で全体の68.7%と約7割近くを占め最も多く、次いで「赤字累積」が3件で構成比9.3%となっている。倒産件数は大幅に減少したものの「赤字累積」は前年同期の2件から増加に転じており、収益力や財務体質の改善が遅れた太陽光関連事業者の淘汰は今後も続く可能性があるとレポートでは見ている。
FIT成立後に多くの企業が太陽光関連事業に参入したものの、電力需給バランスの崩れによって九州で出力制限が実施されるなど想定外の収益を悪化させる事態が生じたり、過剰供給を問題とした固定買取価格の段階的な引き下げ等で参入メリット自体が減少し参入の減少が生じたことなどが倒産件数減少の背景とレポートは見ている。しかし、電力需給不均衡による出力制限など事業上のリスク自体は減少しておらず、今後も太陽光事業者の経営実態を注視する必要があるようだ。(編集担当:久保田雄城)