東京商工リサーチが2019年上場企業の「従業員平均年齢」を調査。平均年齢は41.4歳で10年の39.5歳から10年間で1.9歳上昇。平均50歳以上は16社、前年より2社増加。建設業の43.4歳が最高。
国連の人口予測によれば2020年における日本人の平均年齢は中央値ベースで48.4歳となっており、2位のイタリアを1歳以上上回り断トツで最高齢の国である。日本が未曾有の少子高齢化社会であることはあまりにも有名である。当然ながら人口ピラミッドは逆三角形で若い世代ほど人口が少なくなって行く。就業者の人口ピラミッドも同様であろうから年を追うごとに就業者の平均年齢も上昇して行くことになるであろう。
7月下旬に東京商工リサーチが2019年3月期決算上場企業1841社の「従業員平均年齢」の調査結果を公表している。レポートによれば、19年3月期決算の上場企業1841社の平均年齢は中央値ベースで41.4歳となり、前年と比べ0.2歳上昇した。当然のことながら調査が開始された10年3月期以降9年連続で単調に上昇が続いている。調査開始の10年3月期の平均年齢は39.5歳であったので、この10年間で1.9歳上昇したことになる。
平均年齢のレンジでみると40歳以上45歳未満の1094社が最多で全体の59.4%を占めている。50歳以上も16社存在し前年より2社増加、平均年齢が高いレンジで社数が増加傾向だ。
人口構造から見れば全体の平均年齢上昇は当然のことであるが、産業別に見ると多少バラツキが見られる。産業別に見ると10産業のうち平均年齢が上昇したのは6産業で、低下したのはサービス産業の1産業のみ、残り3産業は不変であった。
最も平均年齢が高い産業は建設業の43.4歳で、調査開始以来10年連続で最も平均年齢が高い産業となっている。2位は製造業の41.7歳、次いで卸売業が41.5歳、水産・農林・鉱業41.3の順で、全体平均を上回っているのは建設、製造、卸売の3産業のみで産業間に偏りがあるようだ。低い産業はサービス業39.0歳、小売業39.6歳の順でこの2産業のみで40歳未満となっている。しかし小売業は対前年上昇率が最も大きく0.7歳上昇となっている。これは深刻な人材不足を背景に中途採用が増加したことが要因とみられる。
一方で早期・希望退職募集を実施している上場企業は前年を上回っており、その対象年齢は従来の50歳以上から45歳~35歳まで下がって来ている。これは現在のリストラが従来型の業績不振型のみでなく新規事業開拓を目的にするものが増えてきたためと見られる。現在は産業構造、就業構造の大変革期であることだけは間違いない。(編集担当:久保田雄城)