日本最大級のファッションとデザインの祭典「rooms 39」閉幕。日本の伝統技術もアートに

2019年09月22日 12:06

 日本最大級のファッションとデザインの祭典「rooms 39」が、9月4日から6日にかけての3日間、東京都品川区西五反田の五反田TOCにて開催され、盛況のうちに閉幕した。

 roomsは、世界中から集めた最新のファッションやデザイン 、アートの情報発信はもちろん、若手デザイナーの登竜門としても知られる祭典で、若く優れた才能に出会える場としても注目されている。39回目を迎えた今回は380ものブランドが出展。主催者発表によると、来場数は21000名にのぼり、いずれも前回を超える結果となった。

 ファッションやデザインと一口に言っても、集まった出展者は実に多彩でユニークだ。個人のアーティストから企業まで、ジャンルや内容、枠にとらわれない個性あふれる作品たちが並べられ、roomsの会場自体がアートの様相を呈していた。

 中でも今回、とくに興味を惹かれたのは、日本の伝統技術を今に取り入れた作品が多く見受けられたことだ。

 例えば、ゑびす足袋本舗のブースでは、日本伝統の足袋をサンダル用にアレンジした、カラフルな「こたび」があったり、アモフロールのブースでは、無垢の吉野桧を職人が手仕事で仕上げた美しいペット用の骨壺などが出展されていた。

 また、環境省が推進する“プラスチックとの賢い付き合い方“を進め、広める「Plastics Smart( プラスチック・スマート)」のブースでは、株式会社アキュラホームが開発した木のストローが廃プラ問題の解決の糸口となるアイテムとして紹介された。これは、木造注文住宅メーカーである同社が、日本建築の伝統的技法であるカンナ削りの技術を応用して生み出したもので、今年6月に開催されたG20大阪サミットの会議場や関連閣僚会合でも使用されている。

 環境問題へのメッセージ性もさることながら、カンナで薄く削られた木を巻いて作られたストローは、シンプルな美しさがあり、デザイン的にも非常に優れている。お洒落なカフェやレストランで使用されても、充分に耐え得るクオリティだ。何よりも、無機質なプラスチック製品より、自然の温もりに溢れていて、手ざわりも心地よい。

 日本人が長い年月をかけて受け継ぎ、培ってきた繊細な伝統技術。それを時代の流れの中に埋まらせてしまうのではなく、今の社会に合うように再構築する。その行為、それ自体が、優れたデザインと言えるのではないだろうか。

 そして実際に、こうして生み出されたものは、日本国内だけでなく、世界的にも高い評価をうけている。需要不足や後継者不足の悩みを抱える業界も多いが、こういったアプローチを考えれば、まだまだ活路は見いだせるのではないだろうか。

 次回、いよいよ20周年を迎える「rooms40」は、2020年2月20日から22日までの3日間、国立代々木競技場 第一体育館で開催される予定だ。(編集担当:藤原伊織)