厚労省が現場無視・とんでもない病院再編要請

2019年09月29日 12:43

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今後、高齢化がさらに進めば病院への通院が課題として深刻化する。統廃合で病院が遠くなれば、さらに深刻になる

 厚生労働省が26日、全国424の病院を名指しし「再編・統合を検討するよう」求める『暴挙』に出た。来年9月までに具体的結論を求めるというとんでもない病院再編要請。

 指しされた病院に頼っている地域住民=国民=の病院への「信頼」を考慮しない、無視するもの。厚労省は現場状況をどこまで踏まえ名指ししたのか。国民の暮らしを直撃する問題だけに、10月4日召集される国会で熟議してもらいたい。

 今回の発表、2017年度実績のみで机上に浮かび上がった病院を無責任にそのまま発表した感がある。疑問や怒りの声が聴かれ始めた。厚労省は地域医療の状況をつぶさに調べ、判断し直すべき。誤った発表というのが筆者の実感だ。

 筆者の地域には市立市民病院があるが、父はここで院内感染で亡くなった。知人が消化器系不調を訴え救急で運ばれた時もすい臓がんを患っていることがわからなかった。隣市の恩賜財団済生会でステージ4のすい臓がんであることが分かった。

 ほかにも80歳の男性の妻から「市民病院で誤診され」、済生会で発見された時、がんがあちこち転移し、手遅れになっていたと病院だけでなく市長にも訴えたと聞かされた。

 そうした経緯もあって筆者の家族はすべて済生会で受診し、必要時に入院治療を受けている。今回、その病院が再編・統合が必要とする対象にされた。設備もさることながら、治療・診療にあたる医師とサポートする看護師らへの信頼の厚さがあるからこそ、医療は成り立つ。母はここで完治した。数字上の問題で処理できるものではない。

 通常「かかりつけ医」で診察を受け治療を受けるが、入院治療が必要となれば、地域の「かかりつけ医」は100%と言っていいほど、地元の市民病院を紹介する。筆者は家族が入院する必要があれば、隣市の済生会に入院できるよう医師に希望を伝え、紹介先を変えて頂いてきた。治療が的確に行われてきたからだ。

 今回の検討要請では、車で20分圏内にある同程度の実績の病院が複数ある場合との判断で、その対象にされたのだろうと推察しているが、統廃合するなら、市民病院こそ施設を市が管理したまま、病院経営を恩賜財団に委託していただきたいと個人的には感じている。そうした形態をとっている自治体を見てきているからだ。

 今後、高齢化がさらに進めば病院への通院が課題として深刻化する。統廃合で病院が遠くなれば、さらに深刻になる。統廃合を提起するなら、数的材料も重要な要素だが、そこに住む人たちが納得できる調査結果を公表したうえで「提案」するよう強く求めたい。今回の提案は一旦取り消し、再検証して提案し直すことを強く希望する。(編集担当:森高龍二)