健康長寿成分であるレスベラトロールがここ数年、注目を集めている。2006年に科学雑誌の権威である「Nature(ネイチャー)」に、その有用性に関する内容が掲載され、今年6月にNHKスペシャルで健康長寿に対する可能性について放映されるなど、国内での認知度や需要が急激に加速している。
何故ここまでレスベラトロールが注目されるのか。やはり一番の理由は、誰もが持つ長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化させることで、健康で長生きすることが期待されるからであろう。さらにレスベラトロールには、抗酸化作用、メタボリックシンドロームや認知症への予防効果、ひいては、放射線障害を防ぐ効果や癌予防への効果なども期待されているなど、現在の日本人が求めるものに対する潜在能力が高いこともその一因であると考えられる。
レスベラトロールは、ブドウの果皮や赤ワイン等に含まれるポリフェノールの一種で、イタドリ(多年草植物)などにも含まれる。しかしイタドリの根から抽出したものは、日本では医薬品扱いとなり食品(サプリメント)としての利用は禁止される。その為、既販のサプリメントはブドウの皮や種子から抽出されたものが主流。一方、インドネシアに自生する植物で、現地で伝統的に食されている「メリンジョ」の実に含まれるレスベラトロール類は”トランスレスベラトロールの二量体”が多く存在することが知られている。レスベラトロール二量体は長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」を活性化するほか、抗癌、美白など様々な効果が確認されているという。
このようにレスベラトロールが注目される中、市場も拡大している。山田養蜂場は、「メリンジョ」から抽出されたレスベラトロール類を国内で初めて採用。「山田養蜂場のレスベラトロール」を商品化している。ブドウ由来のトランスレスベラトロールを単独で摂った時よりトランスレスベラトロールを体内に長く存在させる「持続性のあるレスベラトロール」であることを同社が自社研究によって明らかにし、注目が集まっている。また、ロート製薬も10月にサプリメント「聖樹のチカラ」を発売。同商品には「メリンジョ」が配合されている。製剤はソフトカプセルだが、これは酸化しやすいレスベラトロールの品質を保つためだという。
1991年の特定健康用食品制度の導入以来、健康への関心が高まるにつれてその規模を拡大してきたサプリメント市場。不況により消費の低迷が続く昨今でも、健康ブームのあおりを受けて同市場は伸長している。富士経済の調査によると、生物由来有効成分・素材市場は2010年で約1200億円、2011年見込みで約1229億円、2016年予測で約1316億円と右肩上がり。その中でもレスベラトロールは、同調査によると2010年の約8億円から2011年見込で約16億円、2016年予測で約25億円と、群を抜いて成長が著しく、目の離せない成分となっているのは間違いない。