東京電力福島第一原発事故により毎日増え続ける放射性物質を含む汚染水問題がロンドンで開かれているロンドン条約・議定書締約国会議で取り上げられ、海洋放出に懸念を示し、憂慮を表明している韓国に続き中国、チリも憂慮を表明した。
汚染水問題では政府が汚染水処理をした水を海洋に放出することも視野に検討しており、韓国や国際環境NGOグリーンピースは海洋汚染への影響を強く懸念し、放出はせずに陸上保管し、汚染水から放射性物質(トリチウムを含め)を取り除く技術を適用するよう求めている。
国際NGOグリーンピースがHPで紹介したところによると、会議に出席したグリーンピース・インターナショナル(本部)科学部門のデビッド・サンティロ博士が東電福島第一原発の敷地内に保管されている放射能汚染水について国際協力のもと解決すべきと訴え、日本政府に汚染水が処分できる基準を満たすまでの処理にどのくらいの時間を要するのか、トリチウム除去技術の評価の現状やなぜ取り除けるはずの放射能が取り除けなかったのか、長期保管の可能性について質問した回答を載せている。
それによると日本政府は「ロンドン条約/議定書締約国会議は本件を議論する適切な場ではない」とIAEA(国際原子力機関)の場で行う案件だと主張したもよう。これに対し、チリは「(ここは)本件を議論する適切な場だ」と述べ、引き続き議論される案件になった。
サンティロ博士の質問に日本政府は「放射能汚染水は処理されてほとんどの放射性核種を取り除いている。その処理水の処分方法については検討中で、処理水を放出することになれば国際放射線防護委員会(ICRP)や国内基準を遵守する」と述べたとしており、放出の可能性をうかがわせたものとみられる。また放射能除去について「設備はトリチウム以外取り除ける。トリチウム除去技術については今後も進展を注視する」と答えたとしている。
韓国は「もし大阪湾まで船で運んで投棄するようなことがあれば、ロンドン条約に違反することになる」と指摘し「汚染水管理計画を国際社会と共有するよう日本に求めた」。
聯合ニュースは「韓国海洋水産部側は『IAEA以外の国際機関で問題提起され、日本政府が情報開示の意向を明らかにするのは初めて』と説明した」とすることを伝えるとともに「韓国のキム・ヨンソク駐シカゴ総領事は『万一、日本が実際に汚染水を放出した時には締約国会議で正式に問題提起し、これがロンドン条約およびロンドン議定書に違反すると判断されれば強制力を持つ決議案を提示することもできる』と語った」ことを伝えた。福島原発事故による汚染水の処理問題は改めて世界から注目される案件になった。(編集担当:森高龍二)