大阪湾への汚染水処理水投棄は暴挙、学者ら

2019年09月22日 10:00

 大阪市長の松井一郎市長が東京電力福島第一原発事故で毎日増え続けている放射性物質を含む汚染水の処理水を無害との科学的根拠があれば大阪湾に放出(投棄)してよい旨の発言をしていることに、抗議と放出を絶対しないよう求めてジャーナリストや学者らが呼びかけ20日、市民団体「大阪湾に放射能汚染水を放出させない会」が緊急設立された。

 会は、大阪湾での放出は「湾が閉鎖水系であることからトリチウムなど放射性物質を含んだ汚染水を放出することは非常にリスクが大きい」と指摘したうえで「暴挙」と強く反対。20日、大阪市に放出しないよう求めた。

 会によると、会立ちあげからわずか1日で関西、中国、四国などから200人が声をあげる反響を呼んでいるという。

 ジャーナリストの木下黄太氏らは「大阪湾への汚染水放出を止めるために必要なことは全部やる」考え。また「汚染水(処理水)をわざわざ大阪に移送し、湾内に放出などというのはあり得ない話だ」と強く反対を訴えている。

 松井市長の大阪湾への汚染水処理水放出(投棄)を認める発言を巡っては大阪府漁業協同組合連合会も18日「断固反対する。(発言の)撤回を」と汚染水の海洋投棄受け入れ発言に緊急抗議した。

 東京電力福島第一原発事故により毎日発生し続ける汚染水については放射性物質の「トリチウム」を政府基準に希釈して海洋投棄する案が処分案のひとつにあがっているが、日本の水質基準は「1リットルあたり6万ベクレル」とEU(100ベクレル)やアメリカ(740ベクレル)に比べ、600倍~81倍と極端に基準値が甘い。

 また鳩山由紀夫元総理は放射線に詳しい医者に聞いたとして、ツイッターで「トリチウムはDNAに付いてしまい、脳腫瘍、白血病、がんの原因となる。薄めて海洋放出すれば安全とはとんでもない」と発信している。(編集担当:森高龍二)