国際環境NGOグリーンピースが今年9月に18歳から81歳までの男女を対象に福島と新潟で各1000人と福島・新潟を含む全国の1000人から東京電力福島第一原発事故により毎日発生し続けている放射性物質トリチウムを含む汚染水の処分方法などについてアンケート調査した結果、海洋放出に賛成は11.7%、反対が50.8%に上った。
海洋放出について新潟県では賛成11.1%、福島県では15.9%、全国では11.7%。一方、反対では新潟県51.8%、福島県43.3%、全国50.8%となった。
海洋放出に反対と答えた人が反対理由に挙げたものでは「福島県だけでなく、日本・世界全体に悪影響を与えると思うから」が最多だった。
反対理由で福島県では福島県への漁業に悪影響を与えると思うからが最も多く52.9%だったが、日本・世界全体に悪影響を与えると思うからとする回答も43.7%と2番目に多かった。日本・世界全体に悪影響を与えると思うからとの理由は新潟県で48.1%、全国も51%といずれも最多だった。
一方、賛成とした人の賛成理由では環境への影響が最小限と思うからが最も多く、新潟では34.2%、福島県では29.6%、全国では35%となった。また最も費用がかからないと思うからとの理由が全国では26.5%と2番目に多かった。福島県で2番目に多かったのは汚染水を保管するスペースが足りなくなると思うから、というもので21.4%あった。
グリーンピースは調査結果報告の中で、グリーンピース・ドイツの核問題シニア・スペシャリストのショーン・バーニー氏のコメントをつけている。ショーン・バーニー氏は「汚染水の問題は国際問題。東電福島第一原発事故では海流が放射能を太平洋、東シナ海、日本海へと運んだ。汚染水の処分について、日本政府に対する国際的な懸念は高まる一方であり、日本政府は海洋放出をしないと約束することで懸念を払拭することができる。コストはかかるがトリチウム除去は適用可能な技術。汚染水を長期保管し、並行して汚染水から放射性物質を取り除く技術の適用へ努力すべき」と提案している。
またグリーンピース・ジャパンのエネルギー担当・鈴木かずえさんは「今月7日から始まるIMO(国際海事機関)ロンドン条約締約国会議にグリーンピースの科学部門の専門家が参加します。放射能汚染水の海洋放出についても、この場で各国の代表者を前に問題提起し、日本政府にも質問します」と福島第一原発事故による汚染水の海洋放出を日本政府が検討していることを問題提起するとしている。(編集担当:森高龍二)