厚生年金・社保加入枠見直しに労使の違い際立つ

2019年11月24日 09:30

 全世代型社会保障検討会議の第3回会合が21日開かれ、社会保険(健康保険・厚生年金)加入枠の拡大姿勢に日本商工会議所と全国商工会連合会と連合での立ち位置の違いが際立った。

 日本商工会議所の三村明夫会頭は「社会保険料の半分は中小企業を含めた企業側が負担している実態がある。短時間労働者1人あたりの事業主負担は年間約24万円~25万円になる」などとして慎重な審議を求めた。

 また「高所得の高齢者の負担増や事業主や子育て世代にかかる負担の抑制などの改革を国民的議論のもとで早急に進めるべき」とした。

 全国商工会連合会の森義久会長も「中小・小規模事業者に過度な負担が生じないよう、慎重な検討を行うとともに、社会保障制度全般について抜本的に見直し、中小・小規模事業者の負担軽減を図るよう要望する」との意見を出した。

 一方、連合の神津里季生会長は「すべての労働者に社会保険を原則適用させることを求めている」としたうえで「当面は、企業規模要件を撤廃し、適用基準として労働時間要件(週20時間以上)または年収要件(給与所得控除の最低保障額以上)のいずれかに該当すれば社会保険に適用されるようにすべき。あわせて、被扶養者の年収要件も現行の130万円 から給与所得控除の最低保障額以上とすべき」と提示。

 神津会長は「非適用業種を撤廃し、常時5人未満の個人事業所も適用対象とすべき」と述べるとともに「日本年金機構の体制を強化し、未適用事業所の確実な適用を進めるべき」と実効性を求めた。

 神津会長はフリーランスとの契約においても「フリーランスは労働基準法や労働安全衛生法などが適用されず、働く者が保護されていないことはかねてから指摘されている」として「65歳以前の働き方においてその解消をはかることが必要だ」と提案した。

 安倍晋三総理は「頂いた貴重な御意見をしっかり踏まえ、全世代型社会保障改革担当大臣を中心に厚生労働大臣など関係大臣は年末の中間報告に向けて更に検討を進めてほしい」と指示した。(編集担当:森高龍二)