IMFは10月のレポートで2019年の世界経済の動向を08-09年金融危機以降で最も低い成長率3.0%に下方修正した。米中摩擦などの影響もあり今年に入ってから世界経済の先行き不透明感を指摘する論調も強くなっていた。
今のところ国内指標は全体として良好であるというものの地方製造業など一部に弱い動きも見える。10月には消費税増税もあり消費低迷による国内経済の減速を見込む声も聞こえる。こうした流れから今年の冬のボーナスを悲観する声も多い。
エン・ジャパンが9月から10月にかけて自社サービスを利用する企業1631社を対象に19年「冬の賞与」に関するアンケートを実施し、その結果を10月下旬に公表している。
調査結果によれば、「昨年と比較して今年の賞与予定額に変動はあるか」という質問に対して「変わらない」と答えた企業の割合は49%と約半数で最も多く、「増額予定」が20%、「減額予定」は6%となっている。今年の冬のボーナスは昨年並みが主流で、増額企業の割合が減額企業の割合を上回っており、全体としてはわずかに増額となりそうだ。
業種別に見ると「金融・コンサル関連」で「増額」が36%と目立っている。逆に「減額」では「広告・出版・マスコミ関連」の20%、「メーカー」の18%が他業種より多く目立っている。
「増額予定」と回答した企業に増額率を聞いた結果では、「1~3%未満」が26%で最も多く、次いで「3~5%未満」の20%となっており、増額企業の約半数が「1%~5%」のようだ。増額企業に増額の理由を聞いた結果では、「社員の意欲向上」が60%と最も多く、次いで「業績が好調」の55%、「離職・退職の予防」22%が多くなっている。
「昨年と比較し景気の上昇や回復を実感できているか」と質問した結果では、「まったく感じない」22%、「どちらかというと感じない」26%で、両者を合わせると48%が景気回復を感じていないようだ。
従業員規模別に増額企業の割合を見ると、全体平均が20%の中で「1~50名」で25%と多くなっているのに対し「1001名以上」では16%と小規模企業ほど増額企業の割合が多くなっている。増額の理由を見ると「意欲向上」、「離職・退職の予防」などが多く、中小企業では好況感が感じられないまでも人材確保の観点からボーナスの増額に努力している企業が多いのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)