東芝<6502>が、スマートフォンにおいてWCDMA/LTE等の信号を送信する際に必要な、CMOS電力増幅器の電力効率を改善する電源制御技術を開発したと発表。送信電力レベルに応じて増幅器内の電源経路切換を行うことで、WCDMA/LTE等の信号を送信する際の消費電力を半減しているという。
スマートフォンでWCDMA/LTE等の信号を送信する際には、基地局との通信距離や伝送情報によって送信電力が変動している。端末に搭載される電力増幅器の電力は、長距離送信時など大電力を要する状態を想定し電源電圧を一定に保っているため、短距離送信時などの送信電力が小さい時は電力効率が低下しているという。その解決策として、電源電圧の制御による電力効率の改善が望まれているものの、従来の電源制御技術は増幅器外部に電源ICやインダクタ素子の取り付けが必要となるため、部品の小型化が求められるスマートフォンなどの携帯端末への適用は進んでいないのが現状である。
こうした状況を受けて東芝は、CMOS電力増幅器に独自の電源制御方式を適用し、送電電力が小さい時の電力効率を最大2倍改善する技術を開発。増幅器内部において増幅素子を2つのブロックに分割し、各ブロックへの電源供給経路をスイッチ素子で切換えることで、電力効率を最大2倍改善し、低送信電力時の消費電力を半減させることに成功した。本技術は外部に電源専用IC等の取り付けが不要なので、実装スペースが限られるスマートフォンなどに適しているという。今後は、歪み性能や雑音性能の改善を図り、3年後を目処に実用可能な技術開発を目指す。(編集担当:井畑学)