東京高検検事長の異例の任期延長に強い批判

2020年02月06日 06:43

 最高裁判事に安倍晋三総理の朋友が経営する加計学園の監事を直近まで勤めた人物が任命され司法の独立を懸念する声がある中、「官邸の代理人」などと政権寄り人物との報道がある東京高検検事長の黒川弘務氏が今月7日の定年退官から「半年間任期延長」する閣議決定がされた異例の事態に「検事トップの検事総長に就くのでは」との憶測も広がり、野党からは「恣意的人事」と批判が相次いでいる。

 検察庁法22条は「検事総長は年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する」と定めている。この規定を無視し、都合の良い国家公務員法の例外規定を適用し、正当化している。

 この問題が4日の衆院予算委員会で取り上げられた。立憲民主党の本多平直議員は「国家公務員法の逐条解説書『逐条国家公務員法』によれば、東京高検検事長は勤務延長が認められる対象者に含まれず、今回の人事は違法だ」と問題を指摘した。そのうえで「黒川氏が検事総長に就くことがくれぐれもないことを願う」と釘を刺した。

本多議員は黒川氏が法務省官房長、事務次官として法務行政の中枢にいたなかで、小渕優子元経済産業大臣の政治資金規制法違反問題では秘書2人の起訴のみに終わったことや甘利明元経済再生担当大臣のUR(都市再生機構)への口利き疑惑(大臣室で50万円、事務所で50万円受け取った問題)、下村博文元文科大臣が加計学園からパーティー費用200万円を受け取ったことをめぐる政治資金収支報告書不記載容疑、森友学園問題では佐川宣寿元国税庁長官はじめ38人が不起訴になるなど相次いでいることから不信感を隠さなかった。

枝野幸男代表は「検察という、場合によっては総理大臣を逮捕するかもしれない機関の人事に官邸が介入するのは法治国家の破壊行為」と強く問題視した。国民からも政府への批判の声が出ている。(編集担当:森高龍二)