森友問題「本筋棚上げで、枝葉部分で判決」

2020年02月20日 06:58

 国有地売却時に地中にゴミがあったとして8億円値引きし、1億3400万円で学校法人森友学園に売却されていた「ゴミの真相」が未解決のまま、森友学園経営者だった籠池泰典氏と詢子夫人が学校開校に向けて不正に補助金を受け取ったとされる「補助金詐欺事件」についての判決が19日、大阪地裁であった。森友問題の本筋棚上げで、枝葉部分の判決のみが出た格好。被告の籠池泰典氏には懲役5年、詢子氏には懲役3年執行猶予5年が言い渡された。

 国民にとっては地中に8億円ものゴミが本当に存在したのか、「8億円値引き」問題や安倍晋三総理の昭恵夫人が、籠池氏らが開校を目指した小学校の名誉校長に一時就任し、「安倍晋三からです」と籠池氏に手渡したとされる「寄付金100万円」授受の事実関係がどうであったのか。これこそ解明されなければならない「本流」。

 籠池氏を取材してきた元NHK記者の相澤冬樹氏(大阪日日新聞論説委員)は今月13日、別件裁判の原告側証人として奈良地裁法廷に立ち、虚偽を語れば偽証罪に問われる重い責任の中で「籠池理事長(当時)にインタビューした際、ごみ処理に8億円かかるのかと聞いたとき『かからない』とあっさり言ったのでびっくりした」と証言した。処理に8億円もかかるゴミ量は地中になかったことをうかがわせるもの。真相を明らかにしてほしい、との声は今も多い。

 相澤氏は近畿財務局が国有地購入に支払いのできる上限額を森友学園に聞いていた問題や財務省が、地中ゴミが大量にあったように口裏合わせを学園に求めた問題をスクープした記者として知られる。国有地売却に絡んだ森友問題は何ら終結していない。(編集担当:森高龍二)