オリンピックやインバウンド関連の再開発で不動産市場は好調を維持しているようだ。昨年2019年は東京オリンピック開催の前年であること等の理由から東京都心部を中心に不動産の売り傾向が強まり不動産価格が急落するのではという、いわゆる2019年問題が懸念されてきたが今のところそのようなデータは見られない。
先月29日、国土交通省が不動産価格指数(令和元年10月・第3四半期分)を公表している。これを見ると、19年10月分の不動産価格指数・住宅総合は前年同月比0.1%増加の112.0となっており、ほぼ横ばいながら僅かに増加で、59カ月連続の前年同月比上昇となっている。
内訳を見ると、住宅地は1.2%減少の99.3、戸建住宅は1.1%減少の100.5、一方マンションが3%増加の147.4と引き続き高い水準で上昇傾向を維持し続けている。マンション価格指数の推移を見ると18年10月に143.1であったものが19年8月には147.4まで上昇、9月には146.9へと僅かに下落したものの10月には再び147.4と8月の水準まで回復している。
四半期別に商業用不動産の価格指数の推移を見ると、18年第3四半期の総合が124.2、19年第1四半期124.4、第2四半期122.4、第3四半期124.0と高止まり傾向のようである。
都市圏別で住宅総合の対前年同月比を見ると、南関東圏が0.3%の上昇、うち東京都が1.2%増加、名古屋圏が1.7%上昇、うち愛知県が0.4%増加、京阪神圏が0.3%の上昇で、うち大阪府が1.7%増加と全てのエリアで上昇となっている。
ブロック別に見ると北海道地方で12.9%、四国地方で8.9%の大幅な上昇が見られる一方で、東北地方で4.7%の大きな下落が見られる他、関東地方が0.7%、北陸地方が1.5%、近畿地方が0.1%のそれぞれ下落となっており、地域によってバラツキが見られるようだ。
三大都市圏では店舗が7.4%、オフィスが5.4%の大幅な上昇と都市部での再開発の好調が背景にある様子がうかがえる。
近年のマンションを中心とする不動産価格上昇の動きの背景には外国人投資家の増加も指摘されているが、オリンピック終了を前に今後どのような動きを見せるか注視が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)