若い世代を中心にもはやPCよりスマホの時代だ。PCでもテレビにとってもディスプレイは重要な部分だが、タッチパネルで操作するスマホにとってディスプレイはさらに重要だ。液晶画面に代わってディスプレイの新しい技術として登場したものがOLED(有機LED)技術だ。OLEDの優位性は薄くできること、応答速度が良い、常時表示が可能、省電力になるなどだが、薄くできることは指紋認証にも対応できることを意味するようだ。未だコストはLCD(液晶画面)に比べ高価なようだが今後この分野の伸びが期待される。
これに関連し、富士キメラ総研がOLED関連部材およびLCD関連部材などディスプレイ関連部材の世界市場の動向を調査し、その結果を「2019ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)」として取りまとめ、2月25日にこれを公表している。
レポートではLCD・OLED共通関連部材5品目、LCD関連部材15品目、OLED関連部材14品目、タッチパネル関連部材6品目を調査・分析している。
注目市場としては折りたたみ可能なスマホに用いられるOLEDフォルダブルスマートフォンで採用されている透明PIフィルムで、19年の市場規模は34億円と見込まれている。透明PIフィルム意外にも折れ筋が発生せず筐体が歪まないフレキシブルガラスの採用も検討されているもののフレキシブルガラスは割れに対する強度や屈曲半径の小径化に問題があり当面は透明PIフィルムが中心になると見込まれ、24年での市場規模は透明PIフィルムが392億円、フレキシブルガラスが63億円と予測されている。
19年にはサムスンがAM-OLED(アクティブマトリクス式有機LED)を採用した見開き型フォルダブルスマートフォンを発売し、これによりフォルダブルAM-OLED市場が形成され、19年の市場規模は114億円と見込まれている。20年には新機種の投入もあり引き続き拡大傾向で、市場規模は309億円まで達すると予測されている。
LCD関連部材ではLCD・OLED共通部材が19年第三四半期以降のTV用LCDの生産調整の影響で低迷しているなど、19年の前年比見込みはLCD関連部材で96.9%、共通部材で94.2%と縮小傾向である。しかしまた、車載ディスプレイ部材や高付加価値LCD用部材などの伸びにより緩やかな拡大も期待されている。(編集担当:久保田雄城)