検察官の定年延長のための「検察庁法改正案」が官邸の検察への影響を大きくする内容になっていることが参院予算委員会で取り上げられ、改正案への懸念が広がっている。日本共産党の山添拓議員は法案の撤回を求めた。検察官の独立性、公平性が時の政府のよって損なわれる危険が高い。
改正案は63歳になった検事長など一定ポストにある検察官は継続してこれらのポストに就かせることはできないとする一方、「内閣が定める事由があるとき」は役職延長が可能、「内閣の定めるところにより」再延長さえ可能としていることが山添議員の質問で浮き彫りになった。
山添議員は内閣の判断で特定の検事長らの職務延長が可能になることから「自らを捜査、起訴するかもしれない検察の次長検事や検事長など、検察上層部の人事に内閣が露骨に介入しようとするもの」と問題を指摘。検察の独立性を損なわせる危険を危惧した。
安倍晋三総理は危惧する指摘に「判断は適正になされていく」などと漠然と語るのみで担保できる答えはなかった。
検察官を巡っては「官邸の門番」と揶揄される東京高検の検事長の定年延長問題に対し、14日の記者会見でも安倍総理は記者団から「定年延長問題では国民の知らないうちに解釈が変更された。しかも口頭決裁だった。国会答弁も虚偽だった。政府への信頼回復に黒川検事長定年延長の閣議決定を取り消す、あるいは口頭決裁で解釈変更したことを撤回する考えはないのか」と問われて「人事は法務省として判断されたもので、これを受けて閣議決定したもの。適切な判断だった」と変更する考えのないことを強調した。ことは司法・行政・立法のそれぞれの独立性が損なわれる危険を許すかどうか、国民全体に関わる重大な問題だ。(編集担当:森高龍二)