新型コロナウイルス感染症対策で安倍内閣の「人事案件」が隠れ気味だが、森友問題での公文書改ざんで有印公文書変造罪に問われることもなく、財務省関係者ら38人全員が不起訴になった背景には、当時、法務省事務方トップだった黒川弘務事務次官の圧力があったとの見方もある中、その黒川氏はその後、東京高検検事長となり、現在も定年延長を解釈変更、口頭決裁という信じられない行為により既成化し、東京高検検事長の座にいる。延長が検事総長にするための工作との見方もあり、総理の犯罪を捜査、起訴できる検察の独立性の危機を訴える識者、元検察官からの声も強い。
加えて、安倍総理にとっての論功行賞人事というべき手法の「検察」への人事関与は、黒川氏にとどまらず、「警察」への人事関与も懸念される事態になっていた。安保法制で安倍総理の意向に沿い、憲法9条の解釈改憲で集団的自衛権の行使を一部可能とすることを容認した横畠裕介内閣法制局長官(当時)を警察庁や都道府県警察幹部の任命などを行う国家公安委員会の委員(任期5年)にする人事を安倍総理が国会に示した。
これに小西洋之参院議員(無所属)は3月26日の参院予算委員会で「安倍内閣は検察と警察を私物化しようとしているのではないか」と強い懸念を投げた。政府側は当然、否定したが、ネット上では「権力者に魂を売った『法の番人』を国家公安委員会へ登用人事。菅(義偉官房長官)に言わせれば、適材適所」との批判や「公明党は全党で反対すべきだ」など、国家公安委員会の委員に就かせる人事に反対や懸念の声が多い。
元自民幹事長でもある小沢一郎衆院議員(国民民主党)=事務所=はツイッターで「今に始まったことじゃないが、おかしな役人人事が次から次へと行われている。何とかしないと、中央省庁全体がおかしくなってしまう」と警鐘を鳴らしている。(編集担当:森高龍二)