5Gが切り拓く、新たな未来のビジネス。住宅業界で日本初の無人モデルハウス。新型コロナウイルス対策にも期待

2020年04月05日 10:26

案内ロボット

アキュラホームがオープンする無人モデルハウス 「ミライ モデル」では、モデルハウス内の案内を、すべて自走式のロボット「ゴーカンナ君」 が対応する

2020年3月25日。NTTドコモが国内初の「5G」商用サービスを開始し、いよいよ第5世代のモバイル向け通信規格「5G」の時代が到来した。

5Gには、これまでの4Gに比べて「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」という3つの大きな特長がある。では、この特長によって我々の生活がどのように変わるのか。

 一般的にすぐに思い浮かぶのは、スマホやパソコンなどでも「4Kや8Kの高精細、高画質の映像が手軽に見られるようになる」というイメージではないだろうか。もちろん、それもある。しかし、それだけではない。使い方次第で、今話題になっているような最新技術を格段に進歩させ、発展させ、より身近なものにすることができそうだ。

 たとえば、世界中で開発が進む自動運転技術は、5Gの導入によって発展が最も期待されている分野の一つだ。安全を守るためには、5Gの安定した通信技術は欠かせないものとなる。また、医療分野では、5Gの「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」を利用して、遠隔手術や遠隔手術支援が進むのではないかと期待されている。同様に、危険を伴う作業現場や災害復旧などの現場でも、重機を遠隔操作して、作業員の安全を確保しながらの作業を実現することもできるだろう。

 さらに5Gの開始で注目されているのが、IoT化の加速と働き方改革の推進だ。

 その幕開けにふさわしい試みが、さいたま市の「さいたま新都心 コクーンシティ 住宅展示場」で始まる。仕掛けるのは、木造注文住宅を手がける株式会社アキュラホームだ。

 アキュラホームは4月1日から同住宅展示場で、5G開幕に合わせて、住宅業界では日本初、AIやIoT、ロボット技術を駆使した「無人モデルハウス トータルリモートシステム」の導入を開始。同社がオープンする無人モデルハウス 「ミライ モデル」では、モデルハウス内の案内を、すべて自走式のロボット「ゴーカンナ君」 が対応する。

 実は、同社では「気楽に見学したいのに営業が気になって入りづらい」という来場者の声を受けて、6年前から無人モデルハウスの研究開発に取り組んできたという。それが5Gをはじめ、カメラや各センサー技術など、昨今の最先端技術を結集させることで、ついに実現したというわけだ。

 このトータルリモートシステムを活用することで、来場者は営業マンと直接会話することなく、 モデルハウスの見学や住宅相談が可能となるのはもちろん、ゆくゆくは一つのモデルハウス にいながら、同社が全国に展開する130ヶ所のモデルハウスの案内や、建築現場などの見学もできるようになるという。

 とくに今は、新型コロナウイルス感染症の流行が広がる中でモデルハウスの見学などを控えている人も多いだろう。アキュラホームでは衛星ポリシーを守り管理を徹底しているがモデルハウスへの来場者数が昨年と比べて約3割も減っているという。しかし、無人ならば営業マンとも接触することはないので、安心して見学できる。また、 今後5G接続エリアの拡大とともに営業担当者の方もリモートワークによる在宅勤務も可能になるので、双方にメリットのある仕組みとなっている。

 アキュラホームのこの取り組みは、住宅業界だけでなく、5Gを利用することによって既存のサービスをより安全に快適に提供できるという可能性の、良い先例となるのではないだろうか。春だというのに世界中で暗いムードが漂っているが、こんな時だからこそ、最新技術を利用した新しいビジネスが生まれる大きなチャンスになるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)